“7時41分発の通勤急行は3番線から発車します”

西武新宿線上石神井駅の柱や放送でずいぶんと強調されている。確かに通勤急行は平日1日2本と少ない種別だが、それで7:41発の列車だけを強調している、というのは意味不明だ。そう、伝えたいのは、

“7時41分発の通勤急行は3番線から発車します”

そもそも上石神井駅ってどんな感じ?

西武新宿線上石神井駅(SS13)は各停、準急、急行、通勤急行が停車し、快速急行(下りのみ)、拝島ライナー(下りのみ)、特急が通過する駅で、上り(高田馬場)側に車両基地を有します。4面3線で、2番線、3番線は1本の線路を共有しています。(後で簡単な図があります。)

2,3番線へはポイントを渡る必要があるので、基本的に列車は1,4番線に停車します。そして、始発、終着の列車と、待避を行う列車は3,4番線に停車します。下りは2番線に急行が停車し、拝島ライナーを待避する、といったことがありますが、上りは優等種別が待避することはありません。

では、始発でもなく(本川越始発)、特急の待避をする訳でもない7時41分発の通勤急行はなぜ3番線から発車することになったのでしょう?公式な理由は(恐らく)不明ですので、この利点を見ていきたいと思います。

無駄に見えても

上石神井駅(下り線一部省略)

まず、7:33発の急行が上石神井駅4番線を出発します。そして後続の7:36発の各停が3番線に入線します。そして後から来る準急を…

<<<<< 待 避 し な い >>>>>

なんと何事も無かったかのように各停は7:36に出発。

赤は停止

すると、後続の7:38分発準急が4番線に入線。普通に客を乗せて出発します。各停と2分差。そしてこの列車は2駅先の井荻駅で各停を追い抜きます。

いや、上石神井で待ち合わせろよ

と、言いたいところですが、これは各停同士の間隔の調整があったり無かったり。

そして準急が出発した後、とっとこ走るよハ○太郎とっとと走れよ通勤急行が7:39~40頃に3番線に入線し、そのまま少々停車します。

<<<<< で も 待 避 し な い >>>>>

この通勤急行も何事も無かったかのように7:41に出発します。

その後は4番線に各停が来て、それを井荻で追い抜く急行が来て…という流れで、3番線には折り返しの始発が入線してきます。

こう見ると、ただ待避線に列車が入っただけで、ポイントを渡る分無駄な動きに見える、という意見も多いと思います。

有限なら、最大限活用して

筆者の記憶の限り、10年ほど前はこんなことありませんでした。なぜこうなったのでしょうか?…突然ですが、以下の文字列から連想することは何ですか?

京王線明大前

明大前駅は2面2線の駅ですが、朝のラッシュ時に遅延が発生すると、後続の列車が前の列車のすぐそこまで迫ります。3本の列車が並んでいる画像を見たことがある人も(実際に見たことがある人も)いるかもしれません。

さて、もちろん前の列車が駅を出るまで後ろの列車は待ちぼうけです。始発でもなく(本川越始発)、特急の待避をする訳でもない7時41分発の通勤急行はなぜ3番線から発車することになったのでしょう?…この答えが見えてくるのでは、と考えます。

西武新宿線は朝ラッシュ時25本/h前後の本数が走ります。そして待避設備は正直満足なものではありません(この話何回目だろう。毎回見てる皆さんごめんなさい)。そして通過駅の多い優等種別と各駅停車の待避は複雑で、3分を超える遅延はズルズル引きずる傾向にあります。あくまで傾向ですが。最近はコロナの影響で遅延が少ないですが(言い方を変えれば割と客のせい)、3分の遅延は列車1本分に相当します。待避の都合上、そして西武新宿駅での折り返しの都合上、待避順を狂わせたりはそうそう出来ないので、まあ、簡潔に言うとよく遅延します。はい。

先ほどの画像付きの解説で、7:33発の急行が上石神井駅で安全確認をして6分遅れたとするとどうでしょうか?後続の各停は仮に3番線を使わないとすると、4分前後は立ち往生することになります。各停は急行のが出た後、信号が変わってからの入線になり、7:41に発車します。すると定刻7:38分発の準急はそもそもホームに入れずこちらも立ち往生(ただし、1駅前の武蔵関駅に停車するのでそこに停車する可能性が高い)。各停を井荻で追い抜くため2分ほど差をつけ7:43に発車します。すると定刻7:41発の通勤急行も立ち往生(武蔵関通過)。こちらも信号変わってからの入線で、7:45発。記憶を辿ると次の各停が7:43、その次の急行が7:45なので、まだ2本分の遅れがあります。

…と、さすがにここまで来るとどうにも出来ませんが(何のための例だし)、例えば定刻7:33発の急行が3分遅れだったとすると、後続の各停が3番線に入れない場合、信号を待って7:37,8分の発車になります。しかし3番線に入ると若干早く出発出来ます。そして定刻7:38の準急は7:40頃に出発します。ここで、通勤急行は7:39~40頃の到着、と言っていましたが、3番線に入れるとすれば、準急の発車を待たずに入線出来ます。「少しでも先に進む」というのは、後続の列車に余計な遅延をなるべく生ませないもので、このために3番線を活用しているのでは、と思っています。些細なことですが、それでも”定時運行”を支えているのです。

と、なんか筆者もこんがらがる小難しい話になってしまったので、次回はパーっと見れる記事にしようかと思います。 文責:え ん じ し