「宝塚から梅田へ、阪急で行くならどの路線を使う?」
そう聞かれると、ほとんどの方は宝塚線と答えるのではないだろうか。
確かに、宝塚線を使って梅田に出るのは最もポピュラーな方法である。
けれども宝塚線を有する阪急電鉄に宝塚線よりも早く大阪へ着く、第二のルートがあるのをご存じだろうか。

その名も阪急今津線。

今回はなぜ今津線経由のほうが早いのか、また宝塚線を取り巻く環境について取り上げる。


阪急今津線とは?

今津線とは兵庫県宝塚市の宝塚駅から西宮市の今津駅を結ぶ10駅、9.3kmの短い路線である。
この説明だけでは梅田はおろか、大阪と無縁な路線に見える。
だがこの路線は、途中駅の西宮北口駅で神戸本線と乗り換えができ、そこから梅田まで行ける訳である。

今津線の路線図。実際には西宮北口で分断されており、乗換えが必要である。


今津線経由と宝塚線経由の比較

しかし、その説明を受けてこう思う方もいるだろう。

乗り換えするのなら、一本で梅田まで行ける、宝塚線のほうが早いのではないか?

ということで、同じ時刻に発車する列車同士を比較してみよう。
比較する列車は

「8時19分発 急行梅田行き(宝塚線経由)」と「8時19分発 準急梅田行き(今津、神戸線経由)」の2列車。
どちらも宝塚駅を同時刻に発車し、それぞれの路線を通り梅田駅に向かう列車である。

…いかがだろうか。
御覧のように、確かに今津線経由のほうが梅田に速く到着している。
しかし準急列車は乗り換え無しの直通列車。

では準急列車ではなく、西宮北口駅で乗り換えをして梅田駅へ向かう場合はどうだろうか。
次に比較する列車は

「7時34分発 急行梅田行き(宝塚線経由)と「7時34分発 普通西宮北口行き(西宮北口乗換)」の2列車。
こちらも双方が同時刻に発車しそれぞれの路線を通り梅田行きに向かう。

西宮北口駅での乗り換え時間を考慮してもなお、今津線を経由したほうが早く梅田駅に着いている。では今津線を経由したほうが早く梅田駅に着く理由とは、何だろうか。

今津線を経由したほうが早い理由とは


まず挙げられる理由として双方の路線長である。
宝塚線、宝塚~大阪梅田の路線長は24.5kmなのに対し、今津線、宝塚~西宮北口と神戸線西宮北口~大阪梅田の路線長は23.3kmである。
なんと宝塚線は今津、神戸線より路線長が1kmほど長いのである。
これは宝塚線が豊中、池田を経由し、遠回りしながら宝塚駅に向かっているためである。
そのため実際、梅田駅と宝塚駅は直線距離で19kmほどしか離れていない。
また、二つ目の理由として急行が豊中から各駅に停車するためである。
これには宝塚線の利用客数の事情が関わってくるのだが、長くなるので省略する。
このように、諸々ある理由のために今津線経由の列車が梅田駅に先着してしまうのである。

宝塚線(橙線)と、神戸、今津線(青線)。宝塚線はカーブが多く、神戸、今津線は直線が多い。


「まとめ」

このように、少々残念なところがある宝塚線だが、将来的に曽根から分岐して大阪空港(伊丹空港)へ向かう連絡線の敷設も計画されいるため、まだまだ目が離せない路線である。

また、今津線も映画「阪急電車」に取り上げられるなど、乗っても撮っても、どちらでも楽しめる路線なのである。
長々と語ってきたが、これは本当に小ネタの内であり、有名であるので沿線民の方なら知っている方も多いのではないだろうか。
また、どちらも路線にもそれぞれの良さがあり、どちらも乗ってみてほしいというのが筆者の勝手な願いである…


「あとがき」

今回は阪急鉄や沿線民には有名な小ネタを取り上げてみました。
ちょくちょくこういった小ネタや豆知識も執筆していきたいと思います
今回も最後まで閲覧していただきありがとうございました!