JR北海道の車両は電車、気動車に関わらず個性豊かな車両が多いことで有名ですが、実はよくよく見ると一般気動車のほとんどは完全なオリジナル車両ではないことは意外と知らない人も多いのではないのでしょうか。今回はそれらのコピー元となった車両も含めてご紹介いたします。なお一部の画像はWIKIからの転載となっております。

キハ130/キハ160系

国鉄が民営化される以前、北海道や四国、九州などには厳しい経営が予想されることから置き土産的なものとしてキハ54・キハ32などの長期使用を前提とした車両が予め配属されました。しかしそれでもまだ旧来の気動車を置き換えるには至らず、加えて乗客の少ない線区には20m級の車体はいささか過剰であったことからJR三島会社はまず短いレールバスタイプの気動車を製造することにします。九州はキハ125、四国はキハ32、そして北海道が製造したのがこのキハ130でした。

Kiha130 at Tomakomai Sta.jpg
塗装がもうボロボロ…

この車両はもともと新潟鉄工所(現新潟トランシス)が地方ローカル三セク向けに製造したNDC規格で作られた車両です。いわゆるカタログ製品の為オリジナリティも何もありません。道内の第三セクター、北海道ちほく高原鉄道にもほぼ同型の車両が運用されていました。この形式は日高本線で運用されていたキハ22やキハ40などを置き換える目的で同線専属で配置されましたが…

北海道ちほく高原鉄道の同型。同鉄道廃止後も動ける状態にある

カタログ製品の安物が北海道の荒い気候と日高本線特有の激しい潮風を浴びて走るのはいささか荷が重すぎました。日高本線の高速化には貢献しましたが、上記の理由で早々に腐食が進行。そして二度にわたる踏切事故での大破により、北海道はこの車両を置き換えることを判断。配属からたった14年で自分が置き換えたはずのキハ40に置き換え返されるという何とも皮肉な末路をたどってしまいました。なお、この踏切事故の時に大破した車両を埋め合わせるためにたった一両だけ導入されたのがキハ160です。こちらも同じNDCタイプの気動車です。

ITT改造後のキハ160-1 (2010年9月11日 / 苗穂工場)
ハイブリッドシステム試験車時代のキハ160

流石にキハ130の二の足は踏まないと、耐寒耐雪構造をしっかり施工したおかげでキハ130が全廃になった後もキハ40に紛れて細々と運用していましたが、2007年に次世代ハイブリッド動力試験車として改造を施されて定期運用から外れました。改造された後はハイブリッド動力の各種試験をいろいろな線区で行い、2013年までに廃車となりました。この車両の廃車によって北海道からNDCタイプの気動車は消滅しています。

キハ141/143系

民営化当初、北海道を悩ませていたのは大量に余った50系客車の使い道でした。同形式は比較的製造年代が若いこともあって廃車するにも廃車できず、とはいえ少しでもコストカットを進めたい北海道にとって客車列車はそれこそ閑散線区では無駄が多過ぎます。民営化直後に開通した津軽海峡線の列車、快速海峡に転用してもまだ余っている50系客車をどうやって捌くか。考えた結果、とても単純な答えにたどり着きました。エンジンと運転台を付けて気動車にしてしまえばいいのです。こうして生まれたのがキハ141系と、エンジンを強化したキハ143系でした。

電車並みの馬力で室蘭本線を飛ばすキハ143系

ですがこのような考えを思いついたのは何も北海道だけではありませんでした。50系客車はほぼ日本全国に配置されていたので当然と言えば当然です。キハ141系としてロールアウトされる2年前、JR西日本がほぼ同じコンセプトの車両を開発していたのです。その名はキハ33系。少しでも製造費をケチりたい西日本が大量に余っている50系客車を気動車に改造すれば製造費を抑えられるのではないか…と考えまず施策で2両作ってみることにしました。ところが…

JR-West Kiha33 DC.JPG
キハ33系。種車が同じだからか顔つきも良く似ている

ただ運転台とエンジンを付ければいいものを、ワンマン運転にも対応させるためにデッキ部分を撤去し、ドアの位置も変更するなどしたために改造費用が思ったより高くつき、何なら新車一台作るよりもコストがかかってしまうという本末転倒の事態に。結局西日本はこの形式の量産をあきらめておとなしく安物気動車キハ120の量産に切り替えることにします。この形式はその後も2010年まで鳥取県米子エリアを中心に運用され、今ではトップナンバー車が一台岡山県津山市に保存してあります。

時には千歳線に乗り入れる運用も。

話を戻して、北海道のキハ141/143系は保温対策も兼ねる為あえてデッキを撤去しなかったので改造コストは比較的安く済みました。そして満を持してロールアウトされた同形式は宅地化が急速に進んだ札沼線(学園都市線)の輸送力増強のために導入されます。ですが沿線の人口増加は著しく、デッキ付きの気動車では段々捌ききれなくなった為、更なる輸送力増加策として同線は北海道医療大学駅まで電化されることになりました。その際にキハ40ともども追い出されたキハ141系は廃車、そしてそのエンジン強化版であるキハ143系は室蘭本線に転属し、今に至ります。

青い車体に金の装飾は、どこか24系客車を思わせる

一番特記すべきなのは、そのうちの4両が津軽海峡を越えて東日本に譲渡されたことです。釜石線でSL列車を走らせることになった東日本は、途中の仙人峠区間を越えるためにSLと強調運転する動力客車として使うために本形式を購入の上、再改造。銀河鉄道をモチーフとした青系統の塗装に身を包んで土休日の釜石線をSLと共に走っています。客車から気動車、そして再び客車に改造された形式は後にも先にもこの形式だけではないでしょうか。

キハ150系

キハ150系は函館本線山線などの急こう配区間でも単行で走り抜ける高性能高出力気動車として開発されました。民営化当初の国鉄から継承した気動車は非力なものが多く、特に冬になると雪をどかしながら進まなくてはいけない為最低でも二両運用しなければ走ることもできませんでした。それらの諸問題を解決するべく開発されたのがこの形式です。北海道の一般気動車としては初の冷房搭載車です。

富良野線のキハ150。ラベンダーの帯をまく。

この形式は東日本のキハ110をベースとした車体構造となっており、完全なオリジナル車両ではありません。ですがキハ110とは違って両運転台車両のみの製造となっています。そして少しでもコストを抑えるため、キハ110と同じくエンジンの一部部品や冷房などにバス用汎用部品などを使用しています。そしてこの形式は、キハ40やキハ54などの従来形式とも連結が可能な万能車であり、函館本線や留萌本線でたびたび連結して運用に入っていることがあります。

時には他形式に引っ付いて運用に入ることも

1993年に富良野線用と函館本線山線区間に0番台が、そして1995年に函館本線増発用に100番台が導入され、そのまま運用されていましたが、2018年から函館山線に導入されたH100系に追い出される形で0番台がすべて旭川周辺の路線へ、100番台が苫小牧周辺の路線の運用に就き、玉突きでキハ40の運用を置き換えています。北海道はそのうちほとんどの従来形式をH100系で置き換えると発表しましたが、少なくともこの形式は対象には入っていないようなのでしばらくは安泰です。

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キハ201系

四国で開発された振り子式気動車の技術を自路線の特急列車に導入していた北海道は、少々コストがかかる振り子しいとは全く異なる車体傾斜方式を開発しました。その名は空気ばね式。簡易車体傾斜式と呼ばれるこの方式は、走行するにあたって軌道強化・改良が必要になる振り子式とは違って、軌道にそこまでコストをかけずに高速化が実現できるお財布にやさしい方式です。この方式のテスト運用も兼ねて開発された北海道唯一の通勤気動車がキハ201系です。

Kiha 201 Naebo work shop 20091010.jpg
製造費用がクソ高くてわずか3本しかないけど時間をよく狙えば乗れる

速達化と輸送力増強を同時に成し遂げるため、函館本線小樽以東の非電化区間から乗り入れてくる快速ニセコライナーなどの直通列車や、ラッシュがひどくなる一方の電化前の学園都市線に導入されました。特筆すべきは電車との強調運転機能で、車両のベース元となった731系電車と連結することが出来る、通勤電車としては初めての機能を持った高性能な気動車でした。この形式の開発で手ごたえを得た北海道は、同じ車体傾斜方式の特急型気動車、キハ261系の開発に着手します。3編成と編成数自体は短いものの、運用は大体決まっているのでよく狙えば必ず乗ることが出来ます。

H100系

折からの赤字経営がさらにひどくなり、加えてキハ40などの従来車の老朽化が目立ってきたことから、北海道は重い腰を上げてようやくキハ40の本格的な置き換えに着手しました。そのための新形式として導入したのがこのH100系です。北海道初の電気式気動車です。東日本のGV-E400と完全に同一設計となっていますが、GVとは違って耐寒設備を強化した構造となっています。加えて高出力となっており、函館本線山線の急こう配区間も軽々と越えていきます。

札幌から小樽方面の始発列車は必ずH100系。

2019年からじわじわと増備されていき、2020年のダイヤ改正で函館山線の気動車を全車置き換え。そして一年後の2021年には活躍の場を道北にも伸ばしており、同エリア周辺の普通列車の高速化に貢献しています。おりしも兄弟車であるGV-E400もキハ40を置き換えるために製造された車両で、北海道・東日本地区からキハ40が消えるのはもう秒読み段階となっています。乗り納めはお早めに。

EX:北海道の気動車に乗るなら日帰りで!

長ったらしい誘導文も飽きたので単刀直入に申します。

北海道へは日帰りで行きましょう。

宿泊と書いてあるが日帰りでもできる内容になっています。
それ以外はこっち