結論から言わせてもらうと、真意はわかりません。ここから下の文章は筆者が妄想100%で勝手に推察しているだけの文章ですのでそれを理解したうえでご覧になってください。

おめぇの自由席ねーから!!

ここ最近、JR東日本は主に関東県内完結の特急列車において自由席の設定を取りやめる事例が多く見られます。具体的にいえば、先月行われたダイヤ改正で特急踊り子やその他東海道本線系統の通勤ライナー列車を特急に格上げしたうえで全車指定席にしたのが記憶に新しいでしょう。指定席利用者からしてみれば少し値が下がり、着席保障100%になったのでうれしい限りですが、自由席及びライナー利用者からしてみれば実質値上げもいい所です。

ご丁寧に修善寺直通編成も置き換えた

これだけにとどまらず一番最初に全席指定席化の流れを作った常磐線特急ひたち・ときわや、東海道本線の例と同じくライナー列車もろとも格上げの上全車指定席になった中央本線特急あずさ・かいじなどいくつも事例があり、逆に関東で自由席を設けている特急はさざなみ・わかしお・しおさいの房総系統の特急や高崎線の特急草津の僅か4本のみとかなり少なくなっています。

特急と自由席との関係

かつて国鉄時代、特急列車というものはその名の通り「特別」な急行で、少々リッチなお客様専用の列車でした。そんな列車に着席保証のない自由席などもってのほか。運転される全ての列車が全車指定席で設定されていました。というよりそもそも自由席というものは特急よりも一段下の大衆向けの種別、急行・準急列車までの座席種別でした。その急行列車が国鉄末期からJR初期までの間に特急格上げ、快速格下げなどで激減し、その救済措置と特急の大衆化を促進するべく自由席が設定され始めたのです。

特急とL特急の区別を最後まで守り抜いたのはJR北海道だった

自由席主体で設定された特急は従来の特急と区別するために「L特急」とも呼ばれ、特急列車の大衆化に大きく貢献しました。民営化後もしばらくその呼称が残っていましたが、上記の使命は果たしたという理由でJR東海の特急列車を最後に呼称が全廃されます。奇しくもその提案をしたのは自らもL特急創設に関わった須田寛その人でした。

一部特別車特急で有名なのは名鉄と南海であろう

一方私鉄の有料特急列車というと、「特急は全車指定席」のルールが厳格に守られている会社が殆どです。例外として、名鉄や南海等一部私鉄の特急列車は自由席と指定席を混合させた「一部特別車」を設定しています。この場合自由席車両にあたるのはロングシートが含まれる所謂一般車で、有料座席指定車両ときっちり区別がなされています。

普通列車G車よりも安い逆転現象

閑話休題。ではなぜ、JR東日本は大衆化に貢献した特急の自由席をいまさら廃止したがるのでしょうか。上記の通り真意はわかりませんが、そこには東日本特有の事情が絡んでいるのではないかと推察します。

E235系のグリーン車。コンセントもWifiも完備している神車両

普通列車グリーン車サービスとは、JR東日本が独自に設定している有料サービスです。東海道・東北・高崎線や、横須賀・総武線、常磐線等の比較的中距離を走る普通列車に連結されています。50キロを境目とした定額料金設定かつ全車自由席となっており、18きっぷ利用者等、特急では賄えない長距離需要の受け皿になっています。ところが、このグリーン車の価格設定に自由席廃止のヒントが隠れていると思うのです。(以下グリーン車の事をG車と記す)

E217系のG車

グリーン車の料金設定は、50キロまでが780円、51キロからは1000円(休日はそれぞれ200円引き)という比較的切りのいい値段となっています。51キロからはどこまで乗っても1000円、もしくは800円なので長距離にわたって乗車する場合、特急より安くお手軽にリクライニングシートに座って快適に移動することが出来ます。しかし、たとえ長距離でも平日の区間によっては特急料金と大差なく、何なら特急に乗ったほうが安い事例があるのです。

実際安かったもんね

例えば、横浜から東海道線に乗って熱海へ行くとします。G車を使う場合は51キロを余裕で超えているので1000円かかります。しかし特急を使うとなると、指定席料金で1020円とG車と大差ありません。これは熱海から先、伊東まで乗ったとしても同じ価格です。季節によって価格が変動するとはいえ、指定席でこのレベルなのですから、自由席設定時代はさらに安かったのだろうと簡単に推測できます。100円や200円の差ならまだしもたった20円で着席保証や速達性が手に入るなら特急に乗りますよね?

特急草津には常磐線で使われていた651系が使用されている。

実際問題、まだ自由席が設定されている区間ではこのような逆転現象が多々見られています。例えば大宮から高崎線にのって終点高崎まで乗る場合、G車は勿論1000円払うことになりますが、同区間で特急草津の自由席を使うとなると、なんとG車よりも安い950円となっています。自由席料金は閑散期繁忙期にかかわらず定額ですので、休日に利用したとしてもG車とは170円の差しか開かないわけです。

長距離と短距離で列車ごと棲み分けか?

別に安くてもいいんじゃないの?

安くても特急に乗ってくれたらそれはそれで金が入るしいいのでは?

あえて会社の立場で言わせてもらうならば、逆です。むしろそんな短距離で使われたらデメリットしかありません。

本来特急というものは長距離輸送客主体の列車です。東日本のみならず、会社としては一人でも多くの長距離客を運んだ方がその分お金が入るのでそのほうがいいに決まっています。しかし自由席の短距離客だけになってしまうとそれらより収益が減るばかりか、同区間の普通・快速列車のG車よりも安くて速い速達性のある特急へお客が殺到します。混雑を避けるために特急に乗ったのに特急列車が混雑していて座れないのではお話になりません。本来急行列車が担っていた中長距離大衆輸送を特急に担わせた結果生まれたデメリットに今直面したわけです。

でもな、乗継割引は無くさなくても良かったんと違う?

JRとしては特急には長距離客、それ以外の短距離客にはG車に棲み分けようと考えているのではないでしょうか。できるだけ短距離客をG車で賄わせれば、その分特急の座席が空くわけですから、より長距離客が呼び込めてさりげなくふ収益増につながります。それでも自由席利用者を完全無視はできない為、座席をあらかじめ決めていなくてもいい座席未指定券の設定や、指定席料金を少々値下げしたりなどして東日本なりに割高感を無くそうとしています。

ライナーまで特急にするのはさすがにちょっと・・・

よくよく考えてみたらこれらの全車指定席化された特急が走っている区間は全て普通列車G車サービス営業エリアとほぼ丸被りです。唯一G車が設定されていない中央線区間も紆余曲折を経て2023年度までの導入が決定しています。さすがにライナー列車まで特急格上げは少々やり過ぎだとは思いますが。

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ようやく追いついたアメニティ

G車に自由席短距離需要を担わせたいなら、それなりの設備も必要となります。幸いG車は全て特急と同じリクライニングシートなのですが、まだスマホ全盛期になる前にG車を増備した為、殆どの特急車両とは違ってコンセントとWifiが完備されていない車両がまだ多数2020を占めています。2020年末、E235系の横須賀線導入によりようやくコンセントとWifiが付くG車が導入されるようになりましたが少々遅きに徹した感がぬぐい切れません。おそらくこれから段々と同じようなアメニティを持ったG車で更新していくのだろうと思われます。中央線に導入する予定の両開きドアのG車にも是非ともつけてほしい所です。

その特徴的な塗装パターンから電子レンジと揶揄されているE235系

etc.さざなみからも自由席は消えるか?

ところで、このE235系が導入されたことにより少々問題が発生しました。総武線快速とは別のルートで内房・外房へ向かう特急さざなみ・わかしおにはE257系500番台が使用されていますが、この形式は今現在なんとコンセントはおろかWifiすら設置していないのです。事もあろうにG車よりも設備が劣っているという、別の意味での逆転現象が発生してしまいました。勝っているのはそれこそ速達性と料金の安さだけ。ただでさえ東京アクアライン経由の高速バスの影響で死に体状態だというのに、これではお客をわざと減らしているようにしか思えません。

普通列車G車より設備が劣ってるとか恥ずかしくないの?

そしてあくまでも噂レベルなのですが、JRはさざなみ・わかしおなどの房総特急も全車指定席化しようとしているという情報があります。仮にもしそれが本当だとするならば、わかしおはいざ知らず、さざなみにとっては痛恨の一撃です。同列車の利用者のほとんどは横須賀線経由のG車よりも安い自由席利用に支えられているというのに、それを全車指定席化しようものなら高速バスに客が流れて弱り切っているさざなみは今度こそ完全敗北するでしょう。できれば噂のままでいてほしいのですが・・・閑話休題。

あとがき

関東圏の特急を全車指定席化にして、それでもあふれる需要をG車で賄うのは別にいいのですが、せめてG車のレベルを特急の座席と同じレベルにしてから全車指定席化しても良かったのではないでしょうか。もしくは指定席を中距離電車にもつけるなど。コンセントは配線の関係上無理かと思われますがせめてWifiくらいはつけてほしいものです。長々と妄想に付き合ってくださり有難うございました。