京葉線をお台場・副都心に!千葉県の悲願

京葉線は、東京駅から新木場、海浜幕張などを経由して千葉県の蘇我駅に至る路線です。そしてその新木場駅から分岐してお台場・大井町駅を経由して大崎駅に至る路線がりんかい線です。この路線、JRとは別の会社が運営しているのですが、実は線路がつながっており、ときたま車両の回送や団体臨時列車がこの連絡線を通ってJRとりんかい線を行き来しています。

この連絡線を利用して、京葉線とりんかい線を直通する定期列車を通そうというのがこの構想の内容です。既に実現に向けて千葉県や千葉市等は6年前からJR東日本に打診しています。JRも割と乗り気なようで、りんかい線の事実上の筆頭株主である東京都などと協議を行っている所からこの構想について前向きに捉えていることが分かります。

元は一つの貨物路線だった

そもそも京葉線とりんかい線は、もとは一つの路線、京葉貨物線として計画されていました。当初は千葉県と東京都を行き来する貨物列車のバイパス路線として計画されていましたが、沿線の宅地化の進展や貨物列車の需要減退、さらに国鉄経営悪化など様々な理由が重なり、当初貨物専用路線だったのが旅客線として開業することになりました。総武線のバイパス機能が期待された新木場までの区間はトントン拍子で開業するのですが、(東京に来るのは民営化後)新木場から東京貨物ターミナルまでの区間は結局開業しないまま10年くらい放置されていました。

東京テレポート駅にある本社

しかし、お台場エリアの再開発や当時予定されていた世界都市博覧会(中止)の開催に伴い、そのアクセスを担うために同路線の一部が転用されて第三セクター鉄道、東京臨海高速鉄道りんかい線として開業したのです。東京テレポートまで暫定開通した後に、品川ふ頭信号所(東京テレポートー天王洲アイル間)から大崎までの区間を新規に建設し、2002年に全通して今に至ります。

とどのつまり、この構想は京葉貨物線建設当時の本来の目的にかなり近い形であることが分かります。事実物理的に何度か直通できているので実現はわりかし容易そうに思えます。しかし…

直通実現に際しての問題点

京葉線とりんかい線は、別々の時期、別々の会社で開業しました。しかしそれらが今両線直通構想に際しての大きな障壁になっています。

運賃計算の問題

別々の会社で開業したという事はすなわち運賃形態も別々という事です。新木場から大崎へ向かう場合、JR経由だと310円、りんかい線経由だと400円と90円も差が開きます。(ちなみに地下鉄有楽町線経由だと370円)新木場で改札を挟んで乗り換える場合は別に気にしなくても良いのですが、直通となってくるとややこしいのです。

例えば仮に直通列車を使って海浜幕張から大崎へ向かう場合、りんかい線経由の運賃ですから800円かかります。しかし切符を買うときに誤って大崎まで730円のJR経由の切符を購入して乗車したとしても、大崎駅はJRと共通の改札ですので改札を出ることが出来てしまうのです。これは逆方向でも起こりうることです。この場合はまごうこともない不正ですので見つけ次第しょっ引けるのですが、ICカードで乗車した場合だとさらに面倒です。

90円の差はデカい

乗車経路にかかわらず最も安い運賃を計算する方式を利用しているICカードで乗車すると、例え正しいりんかい線ルートの運賃をチャージして乗車したとしても、システムが自分で最短経路を選んでしまうのでりんかい線に運賃が入ってきません。不正でしょっ引こうにもカードがそういうシステムなので合法とみなされて不問になってしまいます。この運賃計算方式の問題が直通運転構想最大の障壁となっています。この案件が解決されない限り、直通構想実現は難しいでしょう。

かなり似た事例として、北千住駅から大手町までICカードで乗車すると、押上経由で乗ったとしても最短の千代田線ルートの運賃で精算されてしまい、東武には運賃が支払われないという事例が確認されています。

京葉線・埼京線双方の線路容量

実は京葉線は将来の複々線化に備えた設計で開業しています。新木場から蘇我までの区間に並行して妙に整ったスペースがあるのはその為です。この複々線化についてはりんかい線直通構想とは別に議論されており、中にはこちらを優先すべきだという声も見受けられます。直通の暁には全区間は流石にないと思いますが浦安から海浜幕張までの区間等が複々線化に着手されるでしょう。

問題は大崎から先の埼京線の方です。ただでさえりんかい線や川越線方面に直通しているのに加え、大崎から池袋までの区間は湘南新宿ラインと線路を共用しています。さらに大崎から湘南新宿ライン・東海道貨物線を経由して相鉄線海老名方面まで直通しているのでもう線路容量は限界近くまでひっ迫しています。しかも京葉線と違って複々線できる土地なんてありません。そのため、京葉線からりんかい線経由で直通してきた際はおそらく相鉄直通便と同じく朝夕のラッシュ限定で、新宿止まりがメインになると筆者は予想しています。

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設備面の問題

正直これはそこまで気にすることはないです。りんかい線は上記の通りすでに副都心方面の路線、埼京線と相互直通運転を行っているため走行機器やシステムはほぼJRと共通ですし、編成ごとの車両数もそれぞれ10両編成ですので直通実現の際には京葉線側の車両にちょっとした機器改造を施すだけで済まされるでしょう。

etc.買収という手もある

路線が別々の会社で計算が面倒なら、会社ごと買収すればよいのに。

ヒガエリー・アントワネット(2020~)

…とまあこんなことを本当に思ったかどうかは知りませんが、2014年にJR東日本はりんかい線を買収するために同線の運営会社の事実上の筆頭株主である東京都と協議しました。当時の東京都知事である舛添氏は、買収はあり得るとしたものの、慎重に判断すべきであるという風に回答しました。JR東日本は期限を設けずに交渉を続けるとも言っていたため可能性は低そうですがあながち無理筋でもなさそうです。当のりんかい線は買収の話は聞いていない、としていますが。

羽田アクセス線にも直通へ!

大崎・副都心方面への直通は運賃計算上問題があるのでこれからも協議が続くことでしょう。ですがそれより先に別の目的でこの構想が実現しそうです。

今年の1月、JR東日本がかねてから計画していた羽田空港アクセス線の事業を許可したと国土交通省が発表しました。今では休戦状態となっている貨物線を再整備し、東京貨物ターミナルを経由して羽田空港方面へ新線を建設するという計画です。この羽田アクセス線の計画をよく見てみると、りんかい線も計画に含まれており、副都心方面へのアクセス改善のほか、お台場・新木場方面を経由して京葉線方面とも直通すると記されています。

羽田アクセス線が開通したら東京モノレールはどうなる?

ですがこれはあくまでも予定なので、本当に直通するかどうかは開業してみなければわかりません。上記の通り運賃計算の問題も関わってくるので直通はその問題が完全に解決した後になると思われます。その暁には、京葉線とりんかい線は千葉県とお台場・東京副都心、さらには羽田空港方面へアクセスする最重要路線となり、更なる発展が期待できるでしょう。(了)

参考記事

https://www.jreast.co.jp/press/2020/20210120_ho02.pdf

https://s.mxtv.jp/mxnews/kiji.php?date=201408226

https://xtech.nikkei.com/kn/article/knp/news/20140820/674069/