JRは狙われている!今…、道内の都市から、恐るべき高速道路の魔の手が…

JRの脅威となっている道内高速道路網

高速道路網の発達。それはJRにとって自らの優位性に対する脅威にほかなりません。特にクルマ社会ならなおさらで、ただでさえ少ない乗客が高速道路、及び高規格幹線道路延伸で自家用車や高速バスに流れてしまえば収益悪化の上、廃線にも追い込まれることもあります。

例えば留萌線とか

JR北海道はまさにその脅威をもろに喰らっている鉄道会社で、とりわけ昨今の不祥事以来、方針転換により速度向上を諦めた同社は高速道路に対して防戦一方です。今回はその脅威である高速道路を鉄道とバスとの関係と共にご紹介します。

劣勢を強いられている三区間

石勝・根室線VS北海道横断自動車道(根室線)

1997年に根室本線新得ー釧路間の高速化工事が完了したことに伴い、同区間を走る特急おおぞら号の一部は専用振り子式車両キハ283系を使用した特急スーパーおおぞらとして華々しくデビューを飾りました。札幌ー釧路間を3時間台で結ぶその韋駄天ぶりは丘珠ー釧路間の航空便さえ撃墜させるほどで、運行開始からしばらくの間、特に冬季は基本7両編成に3両ほど増結するのが常態化していました。当時はまだ北海道横断自動車道は事業化はしていたもののまだ一本にはつながってはおらず、高速バスも殆どなかったためにほぼJR一人勝ちの時代が長く続きます。

全盛期に乗ってみたかったわね

しかし、2011年に起った石勝線特急火災事故を皮切りとした不祥事の連発により、JRは国土交通省から指導を受けて会社の方針を転換、高速化完成以来ずっと下げなかったスーパーおおぞらの最高速度を泣く泣く下げることになります。特にキハ283系は火を噴いた車両の系列だったため最高速度110キロの厳しい制限を食らうことになります。この影響で特急Sおおぞらの所要時間は4時間台に延びてしまい、札幌ー釧路間の高速バスとの差が僅か一時間程度にまで縮んでしまいました。そして追い打ちをかけるように夕張ICー占冠ICの開通による横断道全通、そして阿寒ICへの延伸により、鉄道とバスの所要時間の差は縮まる一方です。

宗谷本線VS北海道縦貫道(士別方面)

根室本線の高速化から3年後、宗谷本線も名寄までの区間の高速化工事を完了し、当時はまだ急行列車だった宗谷、サロベツの昼行便のみ特急に格上げし、宗谷のみ新型車両キハ261系を充当させたうえでスーパー宗谷としてデビューさせます。この高速化によって札幌と稚内が日帰りできるようになったため、やはり増結が常態化したためにわざわざ増結車両を作るほどの人気の列車となります。この時、北海道縦貫道はまだ旭川までしか伸びておらず、旭川から先の区間は名寄市内に作られた名寄バイパスくらいしか整備されていませんでした。

正直ここら辺はバスも鉄道もあんまり…

時がたつにつれて縦貫道もようやく士別剣淵ICまで延伸し、豊富バイパス、幌富バイパスなどぼちぼち専用道が整備されましたが、依然として最速なのは特急宗谷・サロベツです。ですが、2017年にサロベツが旭川止まりになって以来、札幌と稚内を結ぶ特急列車は一往復のみとなってしまいます。高速バスはコロナ禍の現在においても四往復を維持しているので利便性はバスに軍配が上がっているとみて相違はないでしょう。

函館・室蘭本線VS北海道縦貫道(函館方面)

北海道が一番最初に高速化工事に手を付けた函館本線。もとはと言えば高速道路の延伸対策としてキハ183系後期型を最高速度120キロで設計したのが始まりでした。そしてJR北海道は、四国で生まれた2000系振り子気動車の振り子技術を発展させ、のちの北海道特急の基礎を築くキハ281系を同区間にスーパー北斗としてデビューさせました。同年に道央自動車道も虻田洞爺湖ICまで延伸しています。

北海道の青い弾丸

北海道が特急全体を減速させて以降も道央自動車道がいまだ大沼公園ICまでしか全通していないこともあってか、この区間は上記二区間と比べてまだましな方です。そして、あと10年くらいすればこの区間とは別ルート(函館山線)経由となりますが北海道新幹線が札幌まで延伸するのでそれまでの辛抱といったところです。

大沼公園のどこら辺にあったっけか

戦ってはいないがどのみち負けていた区間(三セクも含む)

日高本線VS日高自動車道

2015年に高波の被害を被ってから鵡川以東が運休となり、そのまま今年の4月に鵡川からの区間が廃止されてしまった日高本線。この路線にほぼ並行する形で日高自動車道が整備されており、今現在は日高厚賀ICまで開通しています。日高本線がまだ様似まで走っていた頃からすでに札幌・苫小牧方面の輸送はこの高速道路を経由する長距離バスにとって代わられており、あくまでも日高本線は地域輸送に徹していた形でした。もし日高本線が波をかぶらずに今現在でも運行していたとしても現在建設中の静内厚賀道路区間が開通すれば遅かれ早かれ廃線となっていたことでしょう。

広尾線VS帯広広尾道

その日高本線とえりも岬を挟んでつながる予定だった広尾線。こちらはJRになる前に廃線となっていますが、丁度この路線と並行するようにして帯広広尾自動車道が整備されています。この自動車道ご丁寧に広尾線廃止後もいまだ人気が衰えない「愛国初幸福行き」の切符で知られる幸福駅付近にICを設置しています。(本当は付近の帯広空港へのアクセスの為)この自動車道は2000年代になって整備されたものですが、前述の幸福ICなどほぼほぼ広尾線に並行したルートの為たとえJR路線として生き残ったとしてもせいぜい20年くらいしか持たなかったでしょう。

ふるさと銀河線VS十勝オホーツク自動車道(網走線)

北海道初の第三セクター鉄道、北海道ちほく鉄道は根室本線池田駅と石北本線北見駅を結ぶ池北線を運営していました。石北本線よりも先に北見・網走方面にアクセスした同線はトンネルや目立った山が一つもないことから一時は高速化も検討されましたが、結局石北線を高速化した方が安上がりだという結果が出て頓挫、そしてこの路線自体経営悪化の為2006年に廃止になってしまいます。そしてこの高速化構想を受け継ぐかのように整備されたのが、十勝オホーツク自動車道です。

廃線から11年たってようやく北見から陸別小利別ICが開通しても、そこから先建設中の陸別IC以南の区間は長らく建設凍結状態となっていましたが、なんと今年の7月末に道東自動車道と接続する足寄ICまでの区間の事業再開を発表しました。かつてふるさと銀河線が担っていた北見・網走方面への高速輸送が道路という形にはなりますがようやく実現に近づきました。

完全敗北した区間

留萌本線VS深川留萌自動車道

去年の3月28日、深川留萌自動車道の最後の事業区間、留萌大和田IC-留萌ICが開業、全通しました。それは同時に、並行する留萌本線への死刑宣告を意味していました。3年前に増毛ー留萌間を廃止にした留萌線は深川ー留萌間の都市間輸送に徹していますが、この高速道路が全通し、高速るもい号などのバス路線などのほうが利便性が高い今となってはもはや存在価値はありません。JRもとうとう残りの区間の全廃に向けて地元と協議を進めています。

高速るもい号、ICカード使えるのは驚いた

石北本線VS旭川紋別道

特急バス北大雪号に乗ると石北本線を使う意味が消えてしまう

旭川紋別道は、名前の通りどちらかと言えば紋別市方面への連絡を重視した道路ですが、遠軽までは石北本線と並行しています。しかし、単線で未だ高速化されていない石北本線とは違い、最低でも二車線のこの道路のほうが速くて便利なのは当然の事。しかも旭川から乗ったとしてもバスのほうが安いのでもはやお手上げ状態です。なお同路線の本来の目的地である北見・網走方面への需要も十勝オホーツク道路全通の可能性が高まったことで雲行きが怪しくなってきています。(了)

それは赤字をはきながら続ける、悲しいマラソンですよ…