
田園都市線の補完系統に振るわれた大ナタ
東急電鉄とグループを共にする東急バスは、今年の四月一日に自社バス路線の大幅な統廃合を行いました。
そのうちの一つ、渋谷から二子玉川駅・高津営業所までを結ぶ系統、渋12系統は、完全廃止にはならないものの大幅な減便が行われ、改正前は全日毎時2本程度だった本数が改正後は土休日限定でわずか一往復の、いわゆる免許維持路線と化してしまいました。
渋12系統は東急田園都市線とほぼ並行した路線という事もあって、同線が人身事故などで運転見合わせとなった際には他の系統と共に振り替え輸送を担うなど、鉄道線を補完する性格を持った系統でした。
ルーツは玉電代替バス
玉電代替バス系統の貴重な生き残り
この渋12系統は、もとをたどれば田園都市線二子玉川ー渋谷間(新玉川線区間)の前身、玉川電気鉄道玉川線の代替バス系統にさかのぼることが出来ます。
実は玉電廃止後からしばらくの間、二子玉川と渋谷を結ぶ交通機関はバスのみだった時期がありました。新玉川線開通までの8年間、新たに新設された10本の系統が同区間の輸送を支えました。このうち、駒澤大学から瀬田までの区間を桜新町、用賀を経由する旧大山街道(玉電ルート)ではなく、そのまま国道246号線を下って二子玉川に至る系統として設定されたのが、渋12系統でした。
玉06、向02とは出自を共にする兄弟系統
このルートを通るバス系統は最初から渋12系統だけではなく、ほかにも二子玉川から多摩川を越えて向ケ丘遊園に至る渋14系統、そして二子玉川から多摩川沿いに進んで砧本村に至る渋13系統の2路線が存在していました。そのうち渋14系統は新玉川線開通の際に用賀発着(のちに二子玉川発着となる)に短縮され、今の向02となります。
渋13系統は玉川線代替バス系統の中で唯一砧線(二子玉川ー砧本村)区間も含めて代替したバス系統で、同区間のみ代替した玉06系統や渋12系統と合わせて「新道線」という路線系統として扱われていました。この路線系統を全区間走りぬいていた唯一の系統だったのですが、今からちょうど25年前に廃止され、新道線は二子玉川で完全に系統分離されました。そして今度の改正で渋12が免許維持路線に降格した今、玉06は事実上玉電代替バス全体の最後の残存路線となります。
渋12系統の代替、玉12系統
その渋12系統ですが、駒沢大学から二子玉川までの田園都市線と重複しない区間のみ、管轄営業所をそのままに新しく玉12系統として分離することになりました。駒沢大学から東の区間に向かう場合は鉄道線や他の系統に乗り継ぐことになります。
駒沢大学駅止まりとなり、乗継割引制度を開始
このため、東急バスでは前に等々力と東京駅を結ぶ東98系統の日中減便の時にも行った、特定停留所でのIC運賃乗継割引制度を今回も導入することになりました。乗継割引の対象となる停留所は駒沢大学駅前停で、玉12系統や渋12系統の他、渋82、渋11、等13の系統を同停留場で90分以内に乗り継ぐ場合に適用されます。(了)