こんにちは。本日は2022年10月9日、東海道新幹線の米原駅に来ています。

本日は「まいばらノリ乗りフェス2022」というイベントの一環で、米原駅近くにある「新幹線保存場」が3年ぶりに一般公開され、車内見学イベントが開催されました!!

ここにはJR東海JR東日本JR西日本の3社がそれぞれ所有していた試験用の新幹線「新幹線高速試験車両」の先頭車両が1両ずつ屋外展示されています。それでは、手前の白い新幹線から順にご紹介していきましょう。

300X(JR東海)

「300X」こと955系新幹線は、1995年(平成7年)にデビュー。JR東海が所有していた新幹線高速試験車両で、更なる車内サービスの向上とスピードアップが必要不可欠であることを理由に開発されました。

STAR21(JR東日本)

続いてご紹介する試験車両は、JR東日本が所有していた「STAR21」です。この車両はJR東日本が、騒音や振動の低減などの環境対策を目的に1992年(平成4年)に制作した新幹線高速試験車両で、この車両は東京方に連結されていた「952系」という形式の車両です。

こちらは「STAR21」のロゴマークです。「STAR21」というのは、「Superior Train for the Advanced Railway toward the 21century」の略称で、日本語に訳すと「21世紀に向けた、進んだ鉄道のための素晴らしい列車」という意味になります。

 

Win350(JR西日本)

「Win350」こと500系900番台は、その愛称の通りJR西日本が営業線内での時速350km/h運転に必要なデータを収集することを目的に開発した試験用の新幹線で、1992年(平成4年)に開発されました。そしてこの「Win350」は、後に登場する500系新幹線の原型にもなりました。

 

こちらが「WIN350」のロゴマークです。こちらもSTAR21と同様に略称化された愛称で、正式名称は「West Japan Railway’s Innovation for the operation at 350km/h」。日本語に訳すと「時速350km/hのためのJR西日本の技術革新」という意味です。

ちなみに、なぜこの「Win350」だけ形式が「500系」なのかというと、この車両はそもそも「500系新幹線を制作する」という前提のもとに走らせる車両だったので、正面のスタイルやカラーリングは実際の500系新幹線とは大きく異なるものの、立ち位置としては500系の“試作車”として開発されました。もちろん500系新幹線がデビューし量産された頃には試作車/試験車としての役割はほぼ終了していたので1996年に廃車。登場からわずか4年の短命でした。

 

・いざ、知られざる試験車両の車内に潜入!

今回行われた車内見学イベントは、事前の応募から抽選で選ばれた人のみ見学をすることができました。

抽選枠が108組だったのに対して、応募総数は実に1500以上!!

ざっと計算すると、抽選で当たる確率はたったの約7.2%!!

まさかの強運を引いたことに衝撃を受けましたが、その貴重な機会に感謝しながら当イベントに参加しました。

 

今回、作成主が車内見学を希望したのは、最初にご紹介しました「300X」です。300Xを選んだ理由としましては、2022年で東海道新幹線に「のぞみ」が設定されてからちょうど30年の節目を迎えるからです。

 

車内見学の時間は、このご時世なのでわずか5分間!年に1度だけ行われるイベントとはいえ、なかなか経験できないことに参加させていただけるだけですごく興奮してきました!

それでは、普段では見られない300Xの車内に潜入です!!

 

こちらは運転席です。ゆとりあるスペースとは言いづらいですが、座席は非常にフカフカで優しく包み込まれる感覚でした。ひじ掛けも90°動かすことができます。

 

こちらは運転台です。マスコンハンドルとブレーキハンドルが分かれたツーハンドルタイプです。奥のスピードメーターは個人的に目線と同じ位置にあったので見やすかったですが、その分窓が高い位置にあるので少しだけ運転席から立ち上がらないと見えないほどでした。

こちらは運転席の左側に設置された車内放送用及び指令所との通信用の受話器(左)と照明のスイッチ(右)と諸々の装置です。

 

車内はこのような感じです。床の配色は座席側と通路側で異なっていました。あまりにも座席数が少なくすっきりしていたことに驚きました。なお車両の手前側で仕切られていたため、車両の奥へ入ることはできませんでした。

 

座席側手前には、300Xに設置されていた自動列車制御装置(Automatic Train Control device)をはじめとする様々な床下機器がガラスケースに入れられた状態で展示されていました。こうした装置を積んで走行試験を何回も重ねた結果、その技術が後の700系やN700系に生かされたのだと思うと、何だか感慨深いものがありますね。

 

床下装置が入ったガラスケースの上に飾られていたのは、300Xが最高時速443km/hを叩き出した時の写真、ポスター、新聞の切り抜きのようです。営業線で活躍していた当時の新幹線の最高時速を大きく上回る異次元のスピードは、日本中を驚愕させたことでしょう。

 

あっという間に5分が経過。気付けば6分くらい経過していました。雨の中行われた車内見学イベントでしたが、その雨も忘れてしまうほど楽しかったです。特に試験車両に乗れたこと自体が初めてだったので、自分が生まれる前に走っていた新幹線とはいえすごく新鮮な気持ちになりました。

 

帰りに米原駅で撮り鉄して帰りました。今回の記事も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(著:大門 希平)