12年前のあの日、東北地方太平洋沖を震源とする巨大地震が東北の町を襲い、特に沿岸部の地域はその後押し寄せた津波に襲われ甚大な被害を出しました。
今回は今月2日から10日まで発売され、15日まで利用可能な「鉄道開業150年記念ファイナル JR東日本パス」を購入した会員や過去に東北を訪れた会員からいただいた写真を基に東北の現状を見ていきたいと思います。
・原発事故から少しずつ復興へと向かう!福島県

まずは関東地方に近い福島県から見ていきましょう。震災から数時間後に福島県で発生した原子力発電所の爆発事故で原子力発電所がある福島県北東部は高濃度の放射性物質で汚染されました。鉄道でも、常磐線の一部区間は不通区間となり他県への移動が困難な時期が長く続きました。その中で福島県西部を走る会津鉄道は、震災から3日後の14日にいち早く一部区間で運転を再開しました。当時、所有車両の中には名古屋鉄道から譲渡されたキハ8500系「AIZUマウントエクスプレス」がいましたが、老朽化の影響でそろそろ引退が迫っている時期でした。
現在は最新型のディーゼルカーが導入され、野岩鉄道や東武鬼怒川線との直通運転も引き続き行われています。

福島は東北新幹線、東北本線の途中駅であり奥羽本線、山形新幹線の起点駅でもあります。
・津波の被害から再び町の活気が戻ってきた!岩手県

岩手県の南東部、大船渡市にある盛駅と北東部、宮古市にある宮古駅を海岸沿いに結ぶローカル私鉄「三陸鉄道リアス線」。三陸鉄道線と岩手県沿岸部の地域は、震災当時NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台として大きく取り上げられていました。しかし地震による激しい揺れとその後の津波で甚大な被害を受け、特に上り列車がトンネルの出入口で脱線し乗客や乗務員がしばらくの間出られなくなる被害が出たこともありました。

現在、三陸鉄道線は震災で受けた被害を乗り越えて岩手に住む人と人、そして町と町を繋ぐために、少しずつ路線の営業と全線開通に向けて歩き出しました。4年前の2019年には台風19号の影響により一部区間が不通になることもありましたが、翌年2020年3月20日をもって盛~宮古間全線が営業を再開しました。これからも県内の人々だけでなく他県や他国から訪れる多くの観光客の笑顔のため、今日も三陸鉄道線は活気溢れる岩手の町を走り続けます。
・結び:震災と鉄道 ~一人でも多くの命を守るために~

鉄道は多くの人々を乗せて走ることのできる効率的な移動手段の一つです。しかし今回の3.11のような自然災害や脱線事故、大規模テロ事件などの場合、極論を言ってしまえば鉄道は乗っている多くの乗客の命を危険に晒す「脅威」にもなれば、命をも奪ってしまう「凶器」にもなり得ます。だからこそ、乗客である私たちや乗務員さんたちが一人の「人間」として共に手を取り合い助け合うこと、またはその姿勢こそが災害や事件から人々を守り、そして救うことに繋がるのではないかと12年の歳月を経た今、私は改めて考えます。
著:大門 希平