はじめに
AJRNEWS、本サービス開始
まず、1月31日に当サイトは本サービス開始を迎えることになりました。
そのことに関して、この場を借りて記事を書かせてくださったAJRNEWS管理人様に、祝福の挨拶をしながら、深く敬意を表します。
また、ライターとしてこれから当サイトをよろしくお願いします。
今連載について。
この連載の趣旨は、名前にもある通り、北海道の鉄道の現状と、その北海道の鉄道を守っていくためにはどうすればいいかを、中学生鉄道ファンである執筆者の目線から自分たち鉄道ファンが出来ることなどを真剣に、本気で見つめていきながら、
そういった支援の宣伝と共に伝えていこうかなと考えています。
連載は2週間に1度ほど、他記事を投稿しながら半年ほどの時間をかけて10記事くらいでまとめていきたいと考えております。
よろしくお願いします。
宗谷本線について簡単に
ではまず、今回記念すべき第1回の舞台である宗谷本線について、簡単にまとめていきます。
宗谷本線は、北海道最北端の都市である稚内市の稚内駅から、人口30万以上を擁する北海道第2の都市、旭川市までを結ぶ259kmの路線です。
沿線自治体は稚内市から始まり主なものとしては幌延町、音威子府(おといねっぷ)村、名寄市、士別市、比布町、そして旭川市などがあります。
宗谷本線は名寄〜旭川とその北で運行系統が分かれており、名寄〜旭川間では日本最北の快速列車「快速なよろ」が運転されます。
特急列車は札幌駅から稚内駅の間を結ぶ「宗谷」号、旭川駅から稚内駅の間を結ぶ「サロベツ」号があります。

絶景も多く、車窓から見える利尻富士などは格別の景色となっています。
宗谷本線の財政状況
利用者数・運行状況から見た財政状況
そんな長距離(本州で換算すれば東京〜浜松)を走る宗谷本線、本線とついていますが地方交通線扱いで、地方交通線扱いになるように利用者数も伸び悩んでいるのが実情です。
利用としては通学利用がほとんどで、普通列車はそこそこの混雑を見せてますが、特急などの都市間輸送列車は利用者数減少が著しく現れています。
道内最大都市である人口196万人を擁する札幌市の中心駅、札幌駅から走る「宗谷」号の場合、4両編成が着席率90%程になるくらい利用はあるみたいですが、
旭川駅から走る「サロベツ」号などは利用数は減っているというのが現状です。
まだ道央自動車道・道北自動車道が稚内市まで直通していないのを見ると、まだ利用の見込みはありそうですが、実際高速バス需要も高まってきており、2021年3月のダイヤ改正で旭川から走るサロベツ号が大幅削減ではなくとも臨時化されるという情報もあり、撤退が少しづつ始まってるのかもしれません。
普通列車なども、周辺高校の通学需要がほとんどとなっており、東風連駅の名寄高校近くへの移設など、通学需要に向けた利便性向上も取り組まれています。
ただ、車社会により鉄道の移動は少なく、本数も極端に少ない状況が続く中、宗谷本線は乗降客数が1桁の駅も多く、厳しい状況が続いています。
営業係数(100円を得るために必要な額、100以下なら黒字)も平成30年のデータで見ると名寄〜稚内が738、旭川〜名寄間が523とかなりの赤字採算です。
駅の同時一斉廃止
そして、宗谷線の財政難を語る上で避けては通れないこのニュース。
毎年何かしらの駅が廃止される宗谷本線ですが、2021年3月のJR北海道ダイヤ改正では、今までよりだいぶ多い13駅が廃止予定となっております。

利用者数が1人以下/日となってる駅が殆どで、利用が少ない駅を廃止することにより維持費を減らし、少しでも状況を軽くしようというJR北海道の財政状況が垣間見えます。
石北本線は駅数が少なくその分利用者数が1人以下の駅も少ないですが、宗谷本線は駅数がほかの路線に比べてとても多く、維持が大変となっています。
自治体に駅維持のための補助を要請したりしながら、駅数を保ってる状態です。
そんな中、恩根内駅と抜海駅は元々廃止予定でしたが、沿線自治体による補助により存続が決定し、ニュースにもなりました。
これ以上廃止撤回になるであろう駅はもうないと思いますが、こういった取り組みがこうして駅の存続に繋がっているというのは非常にいい事だと思います。
宗谷本線の列車・車両
特急列車
宗谷本線の特急列車は一日に三本。
札幌から稚内を結ぶ特急「宗谷」が一日1往復。
旭川から稚内を結ぶ特急「サロベツ」が一日2往復です。

宗谷号は札幌〜稚内を5時間11分かけて踏破する長距離列車で、札幌駅を7:30と早い時刻に出ますが、4両編成で乗車率は高いです。
同じ時刻に札幌駅を発車する特急すずらん2号との札幌白石間で行われるレースは白熱です。(かなり互角です)
特急宗谷は1往復のみのため号数がついていないのも特徴です。
停車駅は札幌を出ると岩見沢、美唄、砂川、滝川、深川、旭川に止まり、和寒、士別、名寄、美深、音威子府、天塩中川、幌延、豊富、南稚内、そして終点の稚内です。
サロベツ号は一日二往復。
上り(旭川方面)が2号と4号、下り(稚内方面)が1号と3号です。
こちらは旭川〜稚内のみの運行となってます。停車駅は宗谷本線内の宗谷号の停車駅と同じです。
旭川〜稚内間を3時間47分で踏破します。
車両は両列車とも主にキハ261系0番台が使われてる他、ピンク色の車体が特徴的な観光用キハ261系5000番台「はまなす」編成なども使われています。
はまなす編成についてはまた別の記事でご紹介します。

普通列車
普通列車は、キハ40系とキハ54系の2つが使われています。

キハ40は主に旭川〜名寄間での運行で、同区間では日本最北の快速列車「快速なよろ」も運転されています。
普通列車は名寄以北と名寄以南で大体分かれているんですが、数本ほど直通列車があります。
名寄以北は普通列車がとても少なく、非常に利用者も少なくなっています。
名寄以北ではステンレス車であるキハ54系が使われています。

名寄以南のキハ40は2021年3月のダイヤ改正で新型気動車であるH100系への置き換えが予定されています。
宗谷本線の魅力
宗谷本線は、絶景も多く、秘境駅などもあり、沿線も魅力的なところが多いのでかなりおすすめです。
まず、旭川から徐々に北に向かい稚内までの順序で沿線の魅力を紹介しようと思います。
旭川市
宗谷本線の起点である旭川。人口33万人を誇る北海道第2の旭川市は、観光名所も沢山あります。

まず旭川市内の主要観光地として真っ先に取り上げられるであろうところは旭山動物園でしょう。
旭山動物園は北海道では当たり前にいる動物や普通の動物園にいるような動物の魅力を沢山感じられます。また、現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため運行実施されてませんが、札幌駅から土日祝日に「ライラック旭山動物園号」という特急が旭川駅まで運行されており、道中も楽しむことができます。(昔は完全動物園仕様の列車も運転されてました…)
旭山動物園について、詳しくはホームページよりご確認ください。
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/
その他にも、旭川には嵐山展望台や旭岳、日本初の歩行者天国とも呼ばれている「旭川平和通買物公園」など、様々な名所がありますので調べてみてください。
旭川〜名寄
比布町
有名な「ピップエレキバン」のCMが撮影された比布町。
中心駅である比布駅は無人駅ですが、駅舎改装の上カフェが併設されています。
CMの撮影が行われた縁結びの神様が祀られる比布神社やぴっぷスキー場、レジャー施設「グリーンパークぴっぷ」などが主要観光地となってます。
全国的に有名なお米「ゆめぴりか」も比布発祥なんだとか。
和寒町・士別市
和寒町は有名な塩狩峠があります。
塩狩駅から数分歩いたところにある「塩狩峠記念館」などはぜひ行ってみることをおすすめします。その他にも、三笠山自然公園内にある「こどもの国」とかもおすすめです。

士別市は屯田兵屋(とんでんへいおく)や、天塩岳、士別天塩川まつりなどが有名で、北海道上川地方の伝統文化を見ることができます。

名寄市
名寄はサンピラー(太陽柱)が有名です。サンピラーとは、空気中の水分が凍りついてそこに太陽の光が出来てできる現象で、雪国だからこそ見れるものです。
また、北国博物館の近くには、キマロキ列車も展示されていて、鉄道ファンなら1度は訪れて欲しいところとなっております。
キマロキとはキ(機関車)マ(マックレー車)ロ(ロータリー車)キ(機関車)の略となっていて、除雪列車となっています。北海道の鉄路を長い間守ってきた機関車を、一目見てはいかがでしょうか。

名寄〜稚内
美深町
美深の鉄道ネタといえば、なんと言っても美幸線の廃線。日本一赤字な路線として知られてた国鉄美幸線は、国鉄民営化前の1985年に廃止となりました。
今は美幸線の廃線を利用したトロッコを走らせる施設「トロッコ王国美深」が運営されていて、廃線を使った観光地を展開しています。
廃線巡りもいいかも…?
音威子府村
迫真の人口3桁、そしてなんと人口の8人に1人ほどが音威子府村立おといねっぷ美術工芸高校生(全生徒村外出身)の音威子府村(おといねっぷむら)。
割と北海道好きの中では有名ですが、一般的には難読地名だそうです(感覚麻痺)

音威子府で有名なものといえばなんと言ってもやはり蕎麦。
日本最北端の駅そばと呼ばれる音威子府蕎麦は、駅そばファンなら1度は訪れてみたいところ。
駅そば「常盤軒」は、昔はホーム上にありましたが、今は駅近くに移転されています。
2018年に店主の高齢の理由で休止となりましたが、2019年には営業を再開しています。
主に昼時間帯に営業しており、水曜日は定休となっています。
また、昔の天北線の廃線巡りもいいかも。
幌延町・豊富町
幌延・豊富はとにかく秘境駅が多く、とても興味深い区間です。貨車を改造し作った駅が多いです。
また、幌延町西側のサロベツ原野は、特急「サロベツ」の由来にもなってる他、国立公園にも認定されており、平成17年11月にはラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)湿地に新規登録されました。
豊富は豊富温泉などが有名で、町内の主要観光地のひとつになっており、道内でも有名な温泉地なのでおすすめです。

そして、豊富〜下沼間などは有名な利尻富士の撮影地にもなっていて、車窓からも宗谷地方を代表する山、利尻岳の勇姿を拝むことができます。
稚内市
稚内は日本最北端の地。

最北端マックや最北端の駅稚内駅など、何かと「最北端」なところです。
中でも稚内に来たら行ってみたいところが「宗谷岬」。日本最北端の果てである宗谷岬は、宗谷地方を象徴するものとなっております。

稚内からバスで接続してるので、行ってみてはいかがでしょうか。
宗谷岬は遠いという方はもうひとつの岬である「野寒布岬(ノシャップ岬)」もオススメです。
稚内港北防波堤ドームなども稚内の名所なのでおすすめです。
路線を残すための取り組み
路線としての取り組み
宗谷本線では、「はまなす編成」による特急列車の運行、JR貨物と連携した「風っこそうや」の運行など、観光集客目的の様々な取り組みを行っており、
5月・6月にはJR北海道観光列車「山紫水明」を利用した臨時急行「花たびそうや」号を運行する予定です。
JR北海道ラッピング列車「北海道の恵み号」のうちの「道北 流水のめぐみ」も運行されています。
また、一般利用客の利便性向上のための取り組みとしては、2021年には東風連駅を名寄高校近くまで移転し「名寄高校駅」として再開業させると言った取り組みをしています。
そして、度々路線修繕のための工事を行っており、設備強化による利便性の向上を図っています。貨客混載の実施なども行っており、効率的なローカル線の活用を促進しています。
沿線自治体の取り組み
各沿線自治体が開催してる「宗谷線フォトコンテスト」や幌延町などの秘境駅を利用した取り組みなどがあり、「宗谷本線活性化推進協議会」による駅カードの作成など、観光集客に向けた取り組みも行っています。
南幌延の地域住民によるお化粧直し、各駅前広場を使った鉄道に関する展示や物販、イベントなど、また美深町が美深駅で「美深駅観光記念きっぷ」の販売も行っていて、沿線自治体の取り組みは盛んです。
また、広報誌などでは公共交通などの利用を呼びかけており、自治体としても残すための動きが盛んなように思えます。
あとがき
いかがでしたでしょうか。
宗谷本線は今、存廃の危機に陥っていますが、みんなが力を合わせて、残せるよう活動していけば必ず残せると思います。
今回の連載は、自分に何ができるかを考え、こうして発信していくのが今の自分にとって最も相応しいものなのではないかと考え始めた次第です。
終わりはいつになるのかわかりませんが、どうか最後まで見ていただき、北海道の鉄道のために支援の輪を広げてくださるとこれほど嬉しいことはありません。
ありがとうございました。執筆者はTwitterで主に活動していますのでフォローしていただけると幸いです。
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