209系が伊豆急にやって来る
今日(7/6)のお昼辺り、かつて房総近郊で運用されていた209系6両編成が電気機関車に引っ張られて蘇我駅を経ちました。譲渡先は伊豆急行、伊東駅まで武蔵野線を経由して向かったそうです。今回譲渡された編成は京浜東北線に導入された初期車をルーツとする209系の中でもそこそこ古参の編成です。

伊豆急行に新形式が入るのは東急からの譲渡以来13年ぶり、JRからの車両が譲渡されるのはこれで2回目となります。そして、JR東日本が設計した「走ルンです」車両が譲渡された初の事例となりました。
何故よりによって209系なのか?
209系は今現在の時点で製造から20年以上が経っており、さらに初期車に至ってはどんなに若くても車齢が25年以上とかなり使い込まれた車両です。

普通、在来線の25〜30年選手なら更新次第でまだまだ使えるのですが、そもそも209系は価格・重量・寿命全て従来車の半分程度で済ませられるように設計されたいわゆる「低コスト車両」の申し子。本来もっと早い段階で置き換えられるはずが幾つかの不運が重なって未だに満身創痍の状態で使い倒されています。
そんな中古の中古をなぜ伊豆急行がわざわざ導入したのでしょうか?
過去にも200系という同様の事例が
その答えは伊豆急行がかつて運用していた、200系電車が教えてくれます。
200系電車は今運用されている8000系の前に伊豆急で運用されていた電車です。顔を見ればわかると思いますが、この車両はJRから譲渡された113系と115系を改造した上で導入した車両です。

ちなみに一番最初に導入されたグループが113系からの改造車で、それ以降は全て115系からの改造となっています。113系は伊豆急行開業当時から同社に乗り入れていた為使い勝手が良く、また115系も同様の性能な為譲渡から運用入りまではそこまで時間はかかりませんでした。
本当はそのまま東急から8000系を貰う予定だったのですが、当時はまだ現役バリバリの8000系を置き換える予定はまだ無かった為、本命8000系の置き換え時期が来るまで伊東駅から乗り入れているJRから経年劣化のためぼちぼち廃車を見込んでいる113・115系を譲り受け、あくまでも本命までの繋ぎとして導入した経緯があります。

今回譲渡される209系も伊東線に乗り入れているe231・e233系とほぼ同じ機器・性能のため導入にそこまで時間はかからないでしょうし、またすでに30年近く使い込まれているため長期の使用は想定してはおらず、あくまでも本命までの繋ぎとしての可能性が非常に高いです。
では、「本命」は何か?
ネットの大方の予想では伊東線でも使われているe231・e233系ではないかと見込まれていますが、その予想はあえて引っ込めて自分なりの予想を述べたいと思います。
新製車はe131系ベースの車両ではないか?
本命が完全新製の車両だった場合、考えられるのはe131系ベースの車両ではないかと思います。イメージとしては日光・宇都宮線で導入されるe131系600番台が適当です。

理由としては直通するJRの車両と機器・部品の統一を行う事により整備費用の削減が図れますし、何より伊豆急の利用実態に合わせて効率的に運用することができるからです。事実伊豆急は8000系を3両で一つの編成としており、需要に合わせて3両・6両とフレキシブルな運用をしています。e131系600番台ベースの車両を導入すればこの運用をそのまま置き換えることができる上に整備費用の圧縮にも繋がるので一番の最適解だと思います。
東急からの譲渡の可能性は低い
さてこの伊豆急は、会社のマークからもわかる通り100%東急の子会社です。大東急万々歳の同社としては従来通り親会社の中古を貰いたいところですが、当の東急で譲渡できそうな車両が見当たりません。出来そうな車両といえば現在田園都市線で置き換えが進んでいる8500系くらいですが、この形式は言うなれば8000系のマイナーチェンジタイプ。しかもほぼ同時期に作られているのでせいぜい部品取りくらいにしかなりません。

そのため、可能性はないとは言い切れませんが、今の時点で東急で譲渡できそうな車両はないに等しく、あったとしても8000系の時同様置き換えの時期まで相当待たされる可能性があります。

それにいつ来るか分からない親会社の中古のを待つくらいならいっそJR等の他の会社から少なくとも8000系よりかは若い車両を貰った方が早いです。「遠くの親戚より近くの他人」とはよく言ったものです。
想定年数を遥かに上回る年数運用された挙句、なんと走ルンです初の譲渡事例となった209系。あくまでも繋ぎとしての短い運用だとは思いますが、新天地でもJR時代と変わらずに元気に走って欲しいものです。(了)