磐越西線一部非電力化は始まりに過ぎない
8月の初頭に報じられた、磐越西線会津若松ー喜多方間非電力化の一報は、JR東日本のコスト削減策の本気度を改めて理解する出来事でした。この区間はダイヤ上電化している意味があまりなかったこともあって目立った反対意見はほとんど見受けられませんでしたが、いくら一日電車が三往復しかないとはいえ電化設備を引き剥がすというのは地元にとってはかなりの大事です。当然反発し、東日本に対して撤回するように申し入れする予定です。
当然東日本はこれで終わりにするつもりはありません。ほかにも似たような境遇の電化路線を分け隔てなく非電力化し、必要なら単線化も行うと5月のプレスですでに発表しています。今までならそのまま放置現状維持で済んでいた路線も今度ばかりはこのコロナ禍による合理化の波を乗り切ることはできないでしょう。
既に気動車は電車と大差ないレベルにまで性能が上がっている
東日本の気動車系列は電車の性能とほぼ同等のレベルに達しており、既に一部の系列では電車と部品を共通化したものや、ハイブリッド式、電気式気動車の出現により、もはや違いらしい違いと言えばエンジンかモーターかくらいです。なので、もしそのままそっくり置き換えられたとしてもあまり問題にならないのではないかと私は思います。

非電力化施策は交流車の運用を浮かせるためか
次に非電力化の白羽の矢が立てられる路線を言い当てることはできませんが、おそらく東北のどこかの路線であると私は考えます。(たぶん同じ文章を記憶にあるだけで二回ほど書いたと思うのですが懲りずにまた書きます。)まず、交流電車は直流電車よりも高くつきます。しかも工夫すれば一両単位の運用も可能な直流に対して交流は、車両に搭載する変圧器やその他の機器の関係上、二両以上でないと運用できない制約があります。
交流電車はただでさえ製造コストが高いので東日本を含めたJR各社は出来ればあまり作りたくありません。しかし、JR初期に制作された交流車両の置き換えもまた進めなければなりません。そうなると考えられるのは交流電化区間をできるだけ縮めて交流電車を余らせて、その分でお古を置き換えるという策です。その非電力化された区間は気動車を増備しなければならなくなりますが、少なくとも単純に交流車を増備するよりは安上がりです。

交流電車をできる限り幹線系統に集中させたいため、今回の磐越西線のような交流電化されている東北ローカル線は容赦なく非電力化される可能性が十分考えられます。当然会津若松から郡山のそれなりに需要がある区間も対象となる可能性があります。というよりとにかく交流車の運用を浮かせることが第一だと思うので、その路線の採算性あるなしはあまり関係なく行われるでしょう。(了)