嫌な雨が去ったと思えば酷暑です。撮影も大変な時期ですが、熱中症にはくれぐれもご注意を。

西武の悲願と東西線

西武新宿線がかつて東京(駅)方面へ延伸しようとしていたという話を前にしましたが、新宿線トップの乗降客数を誇る高田馬場駅と東京駅にほぼ隣接する大手町駅を結ぶ路線といえば東京メトロ東西線。今や日本トップクラスの混雑路線ですが、西武新宿民にとっては山手線の東側へ抜ける重要ルートの一つ。では、この2路線は直通できるのか!?そして、直通時のメリット、デメリットは!?今回はこのあたりをメインに進めて行きます。

連絡線はどこに?

この問いの答えはただ一つ、もちろん高田馬場駅付近です。…といっても、西武線側のどこから、東西線側のどこから、という点では、いくつかルートが考えられます。

Googleマップより

今回はこの3ルートから最適解を見つけたいと思います。

まずは青、中井から高田馬場手前で合流するルートですが、これはかなり障害があります。というのも、中井駅自体が非常に狭く、2面3線(中央に通過線)という構造なのですが、ホームもやっと8両分、というくらい先端が狭く、一体どこに連絡線への分岐が作れるのか、といった具合です。中井駅そのものが地下に潜れば話は別ですが、画像の通り、中井を出るとすぐに川があります。そこをくぐらないといけないという所からも、わざわざここ?と思ってしまいます。

次に水色、高田馬場へのカーブをせず、早稲田方面へ直接行くルートですが、まず、高田馬場駅を設置しづらいという点差があります。なにしろ距離があるので、高田馬場で降りたい人にとっては不便です。さらに、副都心線をくぐって合流しないといけない、合流地点が駅から離れているので調整が面倒、といった問題点があり、これもあまりいい案とは言えません。

では、薄い水色、下落合から高田馬場手前へ行くルートはどうでしょうか。川をくぐるための距離があり、それでも高田馬場駅へ短い距離で合流できます。用地の問題で言えば、画像よりもう少し新宿線に並走して地下に潜った方がよいかもしれません。高田馬場駅へどう合流するかはいくつか手段があると思いますが、大手町方面は手前で合流して同一ホーム、下落合方面は、東西線本線をくぐるため別ホーム、ということも考えられます。

以上の通り、直通連絡線を造るなら、下落合~高田馬場にするのがよいかと思われます。では、仮に直通ができたとして、メリット、デメリットはどうなるのでしょうか。

運行形態と車両

大前提として、東西線に入るのは10両編成です。となると、必然的に新宿線側は優等種別が入ることになります。

となると考えられるのは40000系。全編成が10両編成で、直通の実績は言うまでもないでしょう。…とはいえ、このまま東西線に投入しようとすると、現在のメトロ、東急、みなとみらい線の直通対応の他、設定させる可能性が高い東葉高速線、万が一に備えてJR総武緩行線にも対応しなければいけません。恐らくキャパオーバーです。新車は造れないのか、というとそうでもありません。進退かかる2000系が平気で優等種別に入ってバクシンしてるので、新宿線用の40000系を追加投入することも、出来ないことはないでしょう。あるいは新型車両を製造するか。どちらにせよ、西武側の車両問題はあまり考えなくて大丈夫でしょう。

一方メトロ東西線側はというと、直通する車両全てに直通対応をさせる必要性がでてくるでしょう(後述)。東西線側は15000系がいる以上、直通のために半端な新車の導入はしないでしょう。ただ05系にガタが来はじめたら別ですが。

メリットとデメリット

考えられる運用は、本川越(新宿線)、新所沢(新宿線朝夜)、拝島(拝島線)、玉川上水(拝島線朝夜)~東陽町(朝夜)、妙典(朝夜、)西船橋、東葉勝田台です。(拝島線は新宿線小平駅から分岐する、いわば支線ですが多くの列車が新宿線に直通します。)新宿線内優等種別なので、日中は10分間隔の急行が来ます。西武新宿駅に行きたいとしても、各駅停車も10分間隔なので、鷺ノ宮(高田馬場の次の下り急行停車駅)で乗り換えればそう苦せず行くことが出来るので、日中の急行全てが直通でも問題ありません。東西線内は各駅停車、快速のどちらでも大丈夫でしょう。西武40000系なら95km/hも平気です。

折角なら特急列車も直通させてはどうか、と思いますが、東西線のホームドアが10両編成以外に対応出来るのかは不明です。ドアの位置が一番問題ですが、新宿線に新型特急が出る話(話だけ)はあるので、もしかしたら、ですが…

朝ラッシュ時は、西武側の優等種別が等間隔で来ないので、東西線側の間隔と合わせ、直通する本数の調節はするでしょう。ちなみに東西線中野~高田馬場は、まだ混雑が大丈夫な区間です。

なんとなく察する人もいると思いますが、デメリットは僅かな遅延でもダイヤが崩れることです。コロナ禍前は西武新宿線は2,3分の遅延も普通にありましたが、東西線では1本分の遅延です(いや新宿線でもそうなんですが)。しかも長い地下区間を有する東西線で遅れを取り戻すことは簡単には出来ません。何なら東西線が詰まらないよう、遅れた時用に西武新宿方面へ逃がすダイヤを作ってもいいのでは、と思うくらいです。いや作ってくれ。

という訳で、建設費を抜きにしても、利用客にとってデカいメリットとデカいデメリットがあるのです。いかがだったでしょうか。本来は西武新宿線の地下化、高架化について絡めて説明しようと思ったのですが、これ以上長くなるのも、と思って割愛しました。次回の記事は早ければ数日中に出すと思いますが、7月中を目指します。ではまた。

文責・写真:え ん じ し