皆さんこんにちは。三大都市圏には数多くの私鉄があり、特に唯一三大都市圏同士を結ぶ近畿日本鉄道、近鉄は私鉄では日本一の路線網を有しています。その近鉄は大阪難波駅で阪神電鉄阪神なんば線と接続していて、快速急行や準急、各駅停車等の列車が直通しており、さらにその阪神電鉄は西代駅で山陽電鉄に接続しています。なので、山陽姫路(山陽網干)から賢島や近鉄名古屋への直通列車を運転することは理論的には可能です。また2014年からは山陽近鉄団体臨時列車として、阪神1000系で山陽姫路〜近鉄奈良間が運行されています。今回は近鉄から阪神、さらに山陽へ直通する近鉄特急の実現性について解説していきます。

阪神や山陽では追加料金無料の特急や直通特急、S特急など様々運行されていますが、以後の特急とは追加料金のかかる近鉄特急のことを指します。

近鉄特急の現在

近鉄特急の路線図 (近鉄HPより)

近鉄特急は大阪難波から近鉄名古屋を結ぶひのとりや京都、大阪難波、近鉄名古屋から賢島を結ぶしまかぜ、伊勢志摩ライナーや、青の交響曲など枚挙に遑がありません。名阪から伊勢志摩という一大観光地への鉄道輸送を一挙に担っているほか、名阪間の移動も新幹線より時間がかかるながらもゆったり移動できるという点から多くの名阪特急が運行されており、新幹線と乗り換えできる京都駅から近鉄奈良駅へ向かう特急なども多数運行されています。

ひのとり(レイルラボより)

直通運転は可能なのか?

先程、理論的には可能と言いましたが、現実的には可能なのでしょうか。メリットとデメリットに分けて説明します。

メリット

  • 山陽阪神沿線から近鉄沿線へ、近鉄沿線から山陽阪神沿線への観光ビジネス客の更なる増加が期待できる。

山陽阪神沿線では世界遺産の姫路城や阪神甲子園球場、西九条で乗り換えてユニバーサルスタジオジャパンなどの観光地があります。

姫路城 (HYOGO!ナビより)

近鉄では賢島や奈良東大寺、橿原神宮の観光地があり、多くの観光客の流動が期待されます。また阪神なんば線が開業した翌年の2010年では武庫川女子大の奈良県からの受験者が前年度に比べ36%増えたデータもあります。このように人の流れを変えることが期待できます。

デメリット

  • 対応するために多くのコストがかかる
  • 遅延や運転見合わせが発生した場合影響が長距離に影響が及ぶ。
  • 現在のダイヤが過密で入る余地がない

阪神山陽に直通するとなれば走行している会社の社員が常務を担当しますし、新しい駅案内の表示などを整備するなど多くのコストがかかります。直通特急や無料の特急と違うことも案内しないとならないでしょう。

次に遅延、運転見合わせの際の影響が長距離に及ぶことです。関東で例えるならば東横線が遅延した場合西武池袋線や東武東上線にも遅延が及んでしまうイメージです。

ダイヤの過密も問題です。阪神なんば線と本線が合流する尼崎駅では、現在営業列車だけでも朝夕ラッシュ時に毎時18本の列車が発着しています。これ以上本数が増えるとパンクしてしまうことも考えられます。

尼崎駅平日19時台の時刻表(ekitenより)

最後に

ここまでメリットやデメリットを解説してきましたが、今のところ実現の可能性は低いです。理由は神戸三宮駅のホームドア設置です。

阪神三宮駅構内の図(阪神電鉄HPより)

1番線と3番線に引戸式のホームドアが設置されたことにより、車両長が異なる近鉄車が入線できなくなってしまいました。よって神戸三宮以西の乗り入れはほぼ不可能です。

しかし2番線の折り返しホームは昇降式のホームドアが導入されるため、入線は可能です。なので神戸三宮までの特急乗り入れについては可能性はまだまだあります。今後の動向に注目です。

インライン画像は姫路経済新聞より