こんにちは、AJR-NEWS.comライターのうしてつです。

前回の記事ではこの連載のメインともいえる、京都市営地下鉄の現状について解説していきましたが、最終回である今回は京都市営地下鉄の未来について解説していきます。

延伸計画

京都市営地下鉄には烏丸線・東西線ともに延伸計画があります。

烏丸線

油小路通は京都市から高度集積地区「らくなん進都」指定されており、活性化のために、竹田駅から大手筋通を経て京阪の中書島駅から淀駅の間までの4.4kmを延伸する計画があり、2004年10月には近畿地方交通審議会が中長期的に望まれる鉄道ネットワークとして、延伸計画を答申しました。

しかし、2017年の京都新聞の取材に対し市は、前回の連載で説明した通り、地下鉄が慢性的な赤字であることから、延伸工事を着手するのは困難と発言しています。

※イメージです

ちなみに、竹田駅の奈良方面の線路と京都方向の線路の間には烏丸線の延伸のためのスペースがあります。

竹田駅の延伸予定地

東西線

東西線は太秦天神川から梅津・上桂を経由し、洛西ニュータウン(以下、洛西NT)や長岡京市へと延伸する案がありますが、こちらも烏丸線と同様、延伸への進展はありません。

洛西NTは1976年に入居が開始された京都市が初めて手掛けたニュータウンです。

1971年には東西線が洛西NTを経由して、長岡京に延伸する計画を発表しました。

そのため、延伸するという計画を信じて洛西NTに入居したという人も少なくありません。

しかし、ニュータウンの計画から50年以上が経った今、延伸計画の進展はほとんど進められず、2021年現在も鉄道空白地の状態が続いています。

2020年の市長選で門川大作市長が4期目の当選を果たし、公約として「地下鉄の延伸もしくは、自動運転技術による新交通システムによる太秦天神川~洛西NT~長岡京~六地蔵の環状交通網」の構想を提案しました。

※イメージです
一部資料では洛西ニュータウン以南は別計画として扱われている場合もあります。

烏丸線に新型車両導入

烏丸線の北大路~京都間が開業した時に導入された10系のうち9編成(1・2次車)を置き換えるため、2021年から2025年にかけて新型車両導入をします。

2017年8月に「高速鉄道烏丸線新造車両デザイン検討業務」の入札を実施。総合車両製作所が1円で落札し、2019年には近畿車両がすべての車両を製造すると発表しました。

また車内は西武40000系のように、先頭車の先頭には車いすやベビーカーに対応したフリースペースが設けられます。

ホームドア設置

東西線には1997年の二条~醍醐間の開業当時から設置されていますが、烏丸線では烏丸御池・四条・京都の3駅以外にも2028年をめどに残りの全駅に設置させます。

また、先ほど説明した新型車両導入や既存の近鉄車両・地下鉄10系(3次車以降)にATOの取り付けといったホームドア設置に向けた事業も進めます。

このうち北大路駅については府立盲学校・府立視力障害者福祉センター・ライトハウス(視覚障害者のための総合福祉施設)といった、視覚障害者のための施設が多いことから、2022年度中に設置する方針です。

京都駅に設置されたホームドア

最後に

全7回にわたってお送りしてきました「京都市営地下鉄~過去とこれから~」での連載でしたが、いかがだったでしょうか。

今回の連載「京都市営地下鉄~過去とこれから~」ですが、この度AJR-NEWSの総合編集局長さんに依頼し、「京都市交通局」のタグを作っていただきました。順次過去の記事も追加していきます。

記事を見て、京都市営地下鉄に興味を持てたら幸いです。また、京都市営地下鉄の黒字決算を心からお祈りします。

これからも皆さんにためになる記事・楽しい記事を投稿していきますので、よろしくお願いします。

というわけで、今回はこの辺で失礼します。

それでは皆さんさようなら!