イランカラプテ!けいじぇーです。今回は2030年に予定されている北海道新幹線の札幌延伸時の存廃問題が議論されている函館本線の小樽~余市~倶知安~長万部間の通称【山線】区間の今後について現在の状況も見つつ個人的見解も含めて予想していきたいと思います。

そもそも山線とは

山線区間では”蝦夷富士”と呼ばれる羊蹄山やニセコアンヌプリを望むことができる。

山線とは先ほども紹介した通り函館本線の小樽~余市~倶知安~長万部間の通称で海側を走る室蘭本線経由に対して山側を走ることから山線と呼ばれるようになりました。1986年までは優等列車である特急「北海」や急行「ニセコ」などが運行され函館~札幌間の広域輸送を担っていましたが現在では定期列車は普通列車のみが運行されるローカル線となっています。

存廃問題

定期優等列車は存在しないが景色がきれいなため臨時列車が運行されることも多い。

現在はローカル輸送を担っている函館線の山線区間。先ほども言った通り定期優等列車が無く、さらには定期貨物列車も存在しないため完全に普通列車のみの路線になっているのですが、2030年には整備新幹線方式で建設が行われている北海道新幹線の札幌延伸が実現する予定となっています。それに伴い並行在来線となる新函館北斗~長万部~倶知安~小樽~札幌は自社による運行もしくは第三セクターに移管又は廃止をする必要があります。それに伴い函館線で特に乗客の少ないこの区間は廃止が検討をされています。ちなみにこの区間全線を鉄道で存続させた場合は年間20億円程度の赤字になるとも試算されています。

函館本線の存廃についてまずは区間別にみてみる

・函館~新函館北斗間

この区間は普通列車が多数運行されている。

この区間は2015年の北海道新幹線函館断定開業時に電化がなされた区間となっています。毎時1本ある特急「北斗」に加えて毎時1~2本ある「はこだてライナー」、3時間に2本ほどある大沼公園方面からの直通の普通列車が走る道内でも本数の多い区間となっています。そのためこの区間の廃止はほぼ考えられず函館市アクセスのために残すことが決まっており、函館市とJR北海道が経営移管に合意しており道南いさりび鉄道に移管されると思います。

・藤城支線&砂原支線(七飯~大沼及び大沼~渡島砂原経由森間)

この区間は過去には特急列車や貨物列車が多数運行される区間でしたが現在では下り線で貨物列車が走行する以外は普通列車のみが運行される輸送密度の大変低い区間となっています。北海道新幹線全通後は毎時1本ほど運行される特急が廃止される予定のため駒ヶ岳まわりの本線に貨物がそちらに周る余裕ができるため廃止になってもおかしくない区間と言えます。

・新函館北斗~駒ヶ岳経由森間

この区間は大沼や駒ケ岳などを望め、とても景観が良く観光客も多い

この区間については観光地の大沼公園や駒ケ岳が存在し普通列車でも利用客が多い区間となっています。しかし普通列車のみでは黒字を出せるような状態ではなく貨物も通るため廃止は考えられませんが、経営移管後の観光への取り組みが試される区間となりそうです。この区間も道南いさりび鉄道への移管が有力かもしれません。

・森~長万部間

この区間は室蘭線と合わせて噴火湾沿いを走行する。

森より先の区間は1両単行の普通列車が基本となり先ほどの区間よりも輸送密度が下がります。しかし通学利用があり、長万部まで乗りとおす利用者もいます。この区間も貨物輸送を担っているため廃止はありえず長万部までが道南いさりび鉄道移管となりそうです。この区間での課題は新函館から森、八雲、長万部への利用をどれほど維持できるかが重要になりそうです。

・長万部~倶知安間

倶知安~ニセコ間では蝦夷富士とも呼ばれる”羊蹄山”を眺めることができます。

長万部では特急・貨物街道の室蘭本線と分岐して普通列車のみが走るローカル区間に突入します。長万部~倶知安間は函館線でも特に利用者の少ない区間でありまして、この区間を走る普通列車は上越国境よりも少ない1日4本となっています。この区間は景色こそきれいなものの途中駅から分岐する路線もすべて廃止となり利用者もどんどんと減少。そして沿線自治体も蘭越町を除いて存続には後ろ向きで最後の頼みの綱だったJR貨物も函館線ではもし有珠山噴火などの有事があった際の迂回ルートの役割は持てないと発表しており存続は絶望的と思えます。倶知安の先にある蘭越からは一応札幌まで直通の快速列車がありますが利用者も多くなく廃止は確定ほぼでしょう。この区間を存続させる場合もさすがに道南いさりび鉄道管轄となることも考えられずバス転換やBRT化などが現実的となるでしょう。

・倶知安~余市間

倶知安を出て然別辺りまで来ると駅周辺には住宅が増えてくるが…

倶知安からは運転間隔がおおむね3時間に2本程度まで増えます。しかし利用状況が好調なわけではなく然別から先の利用がまあまあある感じですが、H100系の単行運転で事足りてしまう程度の混雑率となっています。この区間の沿線自治体も鉄道での存続は前向きでなくこの区間は倶知安からの存続、利用者が増えてくる然別からの存続、余市までをバス転換の3つが現実的かと思われます。この区間をもし鉄道での存続をさせる場合はJR北海道が継続運営か新規第三セクター会社の設立になると思われます。整備新幹線方式では原則として並行在来線はJRから分離をされますが事情がある場合は篠ノ井線のように存続が可能なためJRによる継続運営も十分考えられると思います。

・余市~小樽間

余市駅前は比較的大きい街が広がっておりここからは利用者も増える。

余市駅からは本数はあまり増えませんが通勤・通学利用が増える区間となりラッシュ時には気動車が満員になるレベルの利用があります。鉄道での存続が現実的なのが余市までで存続が決定した場合はJRが継続運営を行うことがほぼ確実と思われます。しかしこの区間にも問題があり、途中に存在する蘭島・塩谷の2駅は無人駅で利用者があまり多くないことや、この20km程度の非電化区間のためにJRが引き続き札幌/苗穂にH100系を継続配置する必要があります。余市までの電化案もありますが1日1500人程度の人員に莫大なコストがかかる電化をするのにはリスクが多く運用面・コスト面での課題が大きく残ります。しかし電化がなされれば新千歳からの直通設定や札幌からの直通運用を増やすこともできるため観光客増にはつながるかもしれません。個人的にどのように存続するのかが一番気になる区間です。

・小樽~札幌間

ここから先が電化区間。札幌以遠の新千歳・苫小牧・岩見沢までの直通列車も多く設定されています。

日本有数の観光地である小樽から先は電化区間に突入し、札幌より遠い新千歳空港行きの快速が30分に1本程度。江別・岩見沢方面直通が毎時1本程度、千歳・苫小牧方面直通普通が毎時1本程度の計4本程度が運行をされています。また、途中駅のほしみ・手稲からはさらに本数が増え道内有数の本数の多い区間となっています。この区間も並行在来線に含まれる区間ですがJR北海道が今後も継続運営をしていくことが公式発表されています。

・札幌~旭川間

建設を開始すべき新幹線計画では旭川までが北海道新幹線区間となっているが札幌以遠の延伸については全く目途がたっていない状況である。

この区間は2030年の北海道新幹線札幌延伸には直接関係ないですが、昭和47年に告示された計画では函館本線の終点である旭川までが北海道新幹線計画とされており2021年3月には沿線自治体により「北海道新幹線旭川延伸促進期成会」が結成をされ旭川延伸を要望しているが延伸の目途は全く立っていない状況となっています。この区間は現在特急が毎時1~2本運転され道内でも特に利用者の多い区間となっており所要時間も1時間30分程度のため個人的には札幌駅での乗換改善などで対応できるのではないかと思っています。この区間は先ほども言った通り今回の延伸では並行在来線とはならないため引き続きJR北海道が継続運営を行います。

~今後の予想~

今後存続が議論されている【山線】区間の存廃については2025年を目途に決定される予定となっています。あくまで個人的な見解ですがこの区間は廃止となってしまう可能性が高いと思っています。山線区間は雄大な景色を楽しめる区間が多く新幹線開業後に嵯峨野観光トロッコのように一部区間(小沢~蘭越辺り)を観光トロッコなどに転換するのもいいのではないかなと思います。また、先ほども言った通り有珠山などで有事の際少なからず迂回ルートにもなるため(2000年の有珠山噴火の際には実際に寝台特急・函館行特急・貨物列車の迂回が実施されました。)存続させることができるのが一番いいのかなと思います。

この先の存廃問題が注目されている函館本線。部分廃止がされると長大本線が分断されてしまいます。とても景色が良く乗って楽しい路線となっていますので北海道に訪れた際には皆さんもぜひ乗ってみてください!

 

(2022年2月2日追記)

蘭越町もバス転換に合意したと公表されたため長万部〜余市間はバス転換でほぼ確定的となりました。余市〜小樽間は引き続き議論中です。

 

(2022年5月1日追記)

長万部〜小樽間がバス転換でほぼ確定となりました。2030年までに函館本線の長万部〜小樽間は廃止となる予定です。

(2022年9月26日追記)

新函館北斗〜長万部間については現在存廃協議中です。この区間は本州と北海道を結ぶ貨物の大動脈でもあり、線路が分断されてしまうと北海道の経済に大きな影響を与えかねないとして国交相が介入し沿線自治体、JR北海道、JR貨物での協議を行う予定となっています。

 

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