木更津駅に張り出された壁新聞

去る5月の母の日に久しぶりにうまいラーメンを食いに行くため木更津駅を訪れた筆者は、たらふく食べた後に何気なく木更津駅自由通路を通ったのですが、その通路の君津方面の窓に何枚か久留里線活性化協議会による壁新聞が張られていました。その内容はとても興味深いものばかりでした。

すごいぶっちゃけた内容も乗っている…

全部乗っけるのはあれなのでその中の一部だけ載せますが、地元住民の久留里線に対する思いや要望が詰まっており、そして沿線住民の疑問にもJRがかなりぶっちゃけて真摯に回答しています。

今回はその内容の中で最も多かった課題・要望をピックアップしてご紹介したいと思います。すべての壁新聞の内容が知りたい方は木更津駅、もしくは久留里線までお越しください。

特に多く見られた課題

千葉のJR線なのにSuicaが使えない!

全体を通して一番多かったのがこの文言です。このキャッシュレス全盛時代においてなお、久留里線は2021年現在未だにSuicaが導入されておらず、旧態依然の切符もしくは着駅で現金払いが主流となっています。2020年まではこの路線のほかに鹿島線がSuica利用エリア対象外だったのですが、去年のダイヤ改正でついに鹿島線にも導入された今となっては千葉県唯一のSuica未導入区間となっています。そのため休日お出かけパスのSuica版、のんびりホリデーSuicaパスの範囲からもこの路線だけ除外されています。

本数が少ない!

上記と同じくらいよく見た文言の一つです。木更津で接続する内房線は木更津・君津以北は日中でも3本程度、以南は日中は流石に毎時一本でも朝夕は館山・上総湊に向かう区間列車などもあってそこそこの本数を確保しています。しかし久留里線は久留里までは終日毎時一本程度、さらに上総亀山方面に至っては一日10本にも至らない有様です。久留里から先の区間はまだしも、久留里までの区間はせめて朝夕くらいは30分毎でほしいという要望も見受けられます。

知らない人に見せたらここが関東の駅とは思わなさそう

路線沿線の「目玉」がない!

この文言もありましたが決して一つもない訳ではありません。千葉にあるのに東京と名の付く施設の一つとして有名な東京ドイツ村は久留里線の東横田駅が一番の最寄り駅です。(と言っても徒歩50分の距離)しかしこの駅付近の停留所から接続するバスに乗り換えたとしても最寄りのバス停から施設まで11分ほど歩く羽目になるほか、いつも久留里線と上手く接続するとは限らない為下手したら歩いたほうが早く着くアクセスの悪さも乗客が増えない理由の一つです。

バスに接続しても最寄りバス停から11分も歩くとか。

上記二つの課題に対するJRの回答

この壁新聞に挙げられた主に設備面の課題についてJR東日本は本音も交えて真摯に回答してくれました。

IC設備導入は金がかかる

東日本としては技術的には可能なものの、今の利用状況では駅に設置することはおろか車載型IC端末についても導入は厳しいとの見解を示しました。車載型ICの例としてJR西日本の境線の列車が挙げられましたが、境線は沿線に米子空港を抱えていることもあって、久留里線の一日当たりの全体利用者数のほぼ3倍、一日当たり2700人余りの数値を叩き出しています。少なくともこれくらいの利用者がいなければ導入は難しいのでしょうか。ちなみに同線の車両は久留里線よりも車両が古いあのキハ40系列であることを付け加えておきます。

そのお古のキハ40を「新形式」として導入した会社がよりによって同じ千葉県内にあるらしい

本数を増やすのも金がかかるし、むしろ減らしたい

そして本数の増加要望についても難色を示しました。東日本にとっては今の利用状況から見れば現時点の本数でも多すぎるからむしろ減らしたいくらいだという正直すぎる本音を添えて。増発するにはとにかく車両、設備、人員何から何まで多額の投資を費やす必要があります。よくキハE130系が木更津駅構内で何両か転がっているのを見かけますがあれでも割とカツカツの運用だとか…さらに、増便するには交換設備の増設も必要となりますがこれも用地確保と設備投資だけで数十億もかかると回答しています。

決して対策をしていないわけではなく、朝夕のラッシュ時には三両編成で運転することも。たまに4両の時もある

割と最近の類似事例として第三セクター鉄道の若桜鉄道や北条鉄道が交換設備を数億円程度で増設したと耳に挟みますが、あれはかつて交換設備を有していた駅に再敷設したことや駅周辺にそれなりの空き地があったことから割と安く済んだのであって今回の事例とは状況が違います。今現在横田駅と久留里駅にしか交換設備はありませんが、かつては馬来田、小櫃、上総松丘で交換が出来ました。もしも気が変わって交換設備を増設するとしたら可能性が高そうなのは比較的ホーム跡がしっかり残っている馬来田駅くらいでしょうか。閑話休題。

これらの回答から察するに、要望が多いのは分かっているものの、まず久留里線の利用が増えなければどうしようもないというのが東日本の結論です。

ダメ出しは愛着あってこそ

このようにどちらかと言えば課題やダメ出しのほうが多かったように見えた壁新聞ですが、それらは久留里線をよりよくしたいという気持ちがあってこそ。そうでもなければいちいちこのような壁新聞を10枚も自由通路の窓に掲示したりなどしません。この壁新聞の発行元の久留里線活性化協議会もつい去年始動したばかりでいまだ道のりは遠いですが、このように強い関心を持たれる限りしばらくは安泰でしょう。利用者は少なく赤字ですが久留里線はとても幸せ者だと思います。