特急しおさいとは

特急しおさいは、総武本線を走行する特急列車で、東京~銚子(1,3,5,7,9,11,6,8,10,12,14号の5.5往復)の運行を基本とし、他に東京~成東(2号と、平日のみ13号の合計1往復)・佐倉発東京行(平日のみ4号の上り1本)の運行がある。使用車両は255系9両編成(画像1)が基本で、4号のみE257系500番台重連(10両編成)(画像2)で運転される。特急料金はB特急料金適用となる。歴史の説明は今回とは関係がないため省略する。

画像1:255系(わかしお3号)
画像2:E257系500番台(わかしお5号)

乗車方法

題名にもある通り、今回は6号に銚子から東京まで全区間乗車した。えきねっとから、5号車5番A席を指定してえきねっとトクだ値35適用の特急券を購入した。こちらはチケットレス特急券で、特急券の受け取りが不要である。えきねっとトクだ値は、方面によっては乗車前に予め特急券の受け取りが必要な場合があったり、乗車券つきのもので発売される場合があるので利用する際はよく確認すること。乗車券つきのもの、または特急券単独商品でも乗車券を同時購入した場合は必ず紙のきっぷを受け取る必要がある。チケットレス特急券であっても、基本的な乗車方法は紙の特急券と同じである。乗車券と特急券を用意し、予約した列車に乗るだけ。グリーン車に乗車する場合はさらにグリーン券を特急券と同時に購入する。
えきねっとトクだ値についてはこちらのリンクを参照すること(https://www.eki-net.com/top/tokudane/kakaku_tokkyu.html)

画像3:今回指定した5号車5番A席(カバンが置いてあるところ)

実際に乗ってみた

というわけで、実際に乗車。来た車両は255系千マリBe-01編成。この編成は1次車にあたる。画像3で見える範囲では、右下、フットレストのような棒が跳ねあがらないものになっているところか、上部、荷棚下に読書灯がないところでわかる。ちなみに同時並行で放送の録音を行った。乗車した5号車のスピーカーは3C・5B・8C・10B・12Cまたは13Cのどちらか一方・14Bにある。この車両のスピーカーは独特な音を出すことで一部の人たちに知られている。
始発の銚子駅発車時点では普通車指定席は1両あたり8人程度いるようだった。普通車自由席は1両あたり6~8人程度いるようだった。銚子発車後10秒ほどで案内が始まった。停車駅・到着時刻・設備・携帯電話の使用についての案内が入った。その後車掌の巡回が入った。おおよそ2駅ごとに巡回があった印象である。
飯岡では自由席車に1両あたり4~5人程度乗車してきた。ただ、指定席車・グリーン車への乗車は殆どなかった。この先旭駅以降でも自由席車の利用が多い傾向が長く続くことになる。
旭では自由席車に1両あたり5~7人程度、指定席車に1両あたり1~3人程度乗車があった。八日市場でも旭とさほど変わらない乗車があった。
成東では東金線との乗換があり、その分旭や八日市場よりも若干乗降が多い印象であった。この前後で自由席車と指定席車を間違えた乗客が2組現れた。どちらも勘違いのようだったので、大したことにはならずに済んだようだ。
八街では旭などとさほど変わらない乗降があった。また下りしおさい1号との交換があった。その列車も自由席が混雑する傾向が見られた。この辺りから自由席車が混雑してきたようで、「自由席車両が混みあってきましたので、1人でも多くのお客様がご利用いただけますよう、荷物は荷物棚をご利用ください」といった放送が何度かされるようになった。以前、平日の同じ列車に乗車したときは「6号車・7号車に多くのお客様がご乗車になっています」と放送されていたのだが、今回は「自由席車両が混みあっています」と文面が変化した。このことは後々解説を挟むこととする。
そして佐倉発車後、なんと「自由席、混みあいまして大変ご迷惑をお掛けしております。(中略)本日5号車の指定席に若干ではございますが指定席に空きがございます。ご希望のお客様は5号車までお越しください」と放送が入った。これから察するに自由席が満席の様子である。なお、この放送による乗客の移動は見られなかった。

千葉では自由席車に1両あたり10~14人程度、指定席車に1両あたり2~6人程度、グリーン車にも数人乗車があった。この後は錦糸町、東京の順に停車するため、乗車はなくなる。

錦糸町では、利用者の総数のうち2~3割程度下車があった。この数値は5号車のものであるのだが、他の号車についてはわかりかねる。車内放送では「少しの区間でも特急券が必要です」との案内があった。この区間のみ乗車した例はかなり少ないが存在するようである。2023年3月17日までのとうきょうスカイツリー→浅草でもないので普通に特急料金を取ることにしておく。
終点東京。到着直前、案内終了のビューチャイムが流れて少ししたときに録音機材を撤収させた。この時指定席は4割近く埋まった状態であった。結局、終点まで筆者の隣の座席に他の客が来ることはなかった。ドアが開く手前に5号車デッキで待った人は筆者を含め3人だった。

乗車傾向の分析

座席形態別

前項で見てきたとおり、全区間にわたり自由席の利用者が多かった。「自由席が混みあってきた」と言っている最中、指定席車両は半分近く空席がありそこまで混んでいなかったことを考えると自明である。なお、この傾向は房総特急の多くの列車で共通する。かつては特急草津でも見られたようだが、2023年3月18日のダイヤ改正で「草津・四万」に名称変更と同時に全車指定席化(料金体系は変更なし)されたため、このことはなくなった。
なぜ房総特急でこんなことが起こるのかというと、乗客の半数強程度が「あまり乗客が多くないので自由席で充分」と考えるのが大きい要因として挙げられるからである。実態としては一部列車が乗客たちの予想よりも混雑しているといったところか。ただ、先に紹介したえきねっとトクだ値35の枠は2/3以上埋まっているようなので、えきねっとを使っていない層が安さで選んでいる可能性は残る。

目的別

こちらは平日の同列車と比較しながら見ていく。
平日は銚子7:42発、千葉9:02着、東京9:34着となる。持ち物や格好から判断すると、会社勤めの人が多いように見えた。この列車で通勤利用をしようと思うと、千葉・東京着が9時を過ぎるので、オフィスワーカーが使うにはやや不都合となる。商業施設に勤める人はむしろこの時間がちょうどよいケースもあるようだ。他にサラリーマンが出張に行く場合にちょうどよい時間であるような人もいる。また、少数ながら観光・買物利用もある様子。こどもの利用は殆どなかった。
休日は銚子7:42発、千葉9:02着、東京9:33着となる。一部列車では東京口で時刻が多少変わる。それはさておき、平日と同様に判断すると、行楽向けの装いの人が多く、一部の人はスーツケースを引き連れていた。考えられるのは観光・買物利用が多数だろう。また、この時期的に帰省先からの帰りで利用している可能性も考えられる。平日と似た流れで会社勤めの人の利用もあるかもしれないが、大した人数はいないようだった。平日とうって変わり、こどもの利用がまとまって見られた。

次の新車はどうなりそう?

255系について、2020年に動労から「255系は2023年頃まで使用する」との記述があった。社会情勢からか255系についてはもう少し長く使うことになっている。JTB時刻表2023年4月号を見てみると、6号を除くさざなみ号、2,12,20,3,11,19号を除くわかしお号、しおさい4号がE257系500番台、その他のさざなみ、わかしお、しおさいが255系で運転されることになっている。255系はすべて9両、さざなみはE257系500番台のとき5両、わかしおはE257系500番台運転の列車のうち全区間10両運転の列車が2.5往復、上総一ノ宮で5両を増解結する列車が3往復、全区間5両運転の列車が3.5往復となっている。また、自由席車両が指定席になる日がある旨が書かれている。

ここで、今回乗車したしおさい6号の乗車状況を照らし合わせてみる。指定席は全座席(258席)の半分、自由席(ここでは252席とする)は全座席の1.1倍、グリーン車(42席)は全座席の2割と仮定する。すると、258×0.5=129人、252×1.1=284人、42×0.2=8人(いずれも数値は四捨五入)となる。特定B特急料金(便宜上、今は公式には言われないがスワローサービスとしておく)適用にしたとき、グリーン車利用者以外が増減なく全員普通車指定席を利用したと仮定すると、必要な座席数は129+284=413席となる。これを255系1両の標準レイアウトの16列×4行=64席で割り、数値を切り上げると、413÷64=6.45となるので、グリーン車を半室にしない限り、普通車は最低7両必要とわかる。

つまるところ、この列車に限っては全区間で減車するのは得策ではないといえる。さらに、しおさい号よりも利用者数が多いとされるわかしお号に関しても列車によっては減車はよくなさそうである。ただ、さざなみ号について、1号はとある日に通過列車を観察したところ、座席が半分も埋まってないように見えたことは付記しておく。この時間帯は帰宅ラッシュ真っ只中ではあるが、停車駅設定でみすみす乗客を手放している側面も見られるようである。

こうなると、むやみに減車することはできないようだ。かと言って下手に固定編成ばかりを入れることも需要差の問題で厳しい。そして成田エクスプレス用のE259系も、インバウンド需要の増大のおかげで房総方面に流せる編成はもうなく、新車導入も見込めない。一方、高崎線ではE257系5500番台5両編成が予備車0で運用されている。南海でもあるまいので、予備車0で暫く回すとは考えにくい。というわけで、高崎線の再度7両化のついでに房総地区とほぼ共通仕様の新車を入れるとする。そうなると、基本編成が7両の車両がやってくる。グリーン車はどうなるかは不透明ではあるが、普通車との差別化は図られると思われる。京葉線内の特急停車駅を弄ると仮定すれば、さざなみにもある程度まとまった需要ができると仮定すれば、さざなみ号でも7両運転は現実味を帯びる。これでさざなみ号は処理完了。わかしお号は10両(これよりも長くできる可能性有)、しおさい号は9~11両(有効長が、銚子駅は9両のように見えるが実際は不明・飯岡駅は10両・その他のしおさい号停車駅は最低でも11両)までの両数で運行できるようなので、付属編成は3両でいいだろう。ただ、この予測は完全に私的なもので、また公式からの言及がないことに注意してほしい。

まとめ

しおさい6号に乗車してみて、使用車両の古さは感じるが、当時としては力の入った車両に感じた。座席周りの設備はあまりよいとは言えないが、ゆったりとした移動にはもってこいだと思う。想定よりも自由席利用者が多いのには驚いた。この状態では両数や運行形態ををむやみやたらに変えることは難しいと考える。放送を収録したところでは、どこか他の車両にない優しさを醸し出す音が出ていたのと、空調の音が意外とうるさかったことが挙げられる。
というわけで今回はここまで。今度はしおさい1号かわかしお6号辺りに乗ってみたいが、前泊が必須のためすぐにできるとは思えない。それでもいつかはやってみたいと思う所存である。