今回インタビューさせていただいたのは・・・
今回は、駅寝で有名な鉄道博士さんに取材をさせていただき、皆さんから募集した質問の中から20個を選び、鉄道博士さんに回答していただきました。
鉄道博士とは?
(AJR)まずはじめに、かんたんに自己紹介をお願いします。
(鉄道博士)わかりました。1976年、群馬県高崎市出身です。上越線と信越本線が見える家で育ちました。
小5の時から一眼レフカメラ(キヤノン「EOS650」)で鉄道写真を撮るようになり、高校生の時に「鉄道ダイヤ情報」や「Rail Magazine」の巻頭カラーグラビアに写真が採用されるようになりました。大学時代には、EF63を撮影した写真で、「Rail Magazine」の表紙を2回飾りました。
大学3年の秋に廃線になった信越本線 横川−軽井沢間が大好きで、大学時代には年間100日くらい撮影に行っていました。碓氷峠滞在時間を最大化するため、高崎の実家から都内の大学へ新幹線通学していました。YouTubeは2019年4月から始めました。
(AJR)横軽区間が大好きなんですね。廃止されると聞いたときはどのような心境でしたか?
(鉄道博士)そうですね。整備新幹線開業に伴う並行在来線の廃止は横軽が初めてでしたので、困惑しました。私の力でできることは、後世の方にこの区間の魅力を伝えるために、写真を撮影しておくことだと考えました。当時はデジタルカメラがない時代でしたので、様々な制約がありました。ペリクルミラーを採用したキヤノンEOS-1N RSで流し撮りをしたり、中判カメラのPENTAX645で風景を大きく取り入れた写真を撮ったり、工夫して撮影をした結果、納得のいく写真を撮ることができました。
(AJR)なるほど。使命感に駆られて、写真を撮影されていたんですね。どれもとても上手で、一撮り鉄として、見習わせていただきたいと思いました。
鉄道博士が鉄道好きになったきっかけ
(AJR)鉄道博士さんが鉄道好きになったきっかけはなんですか?
(鉄道博士)実家から列車が見える環境だったことが大きいと思います。また、小学校入学前には、同居していた祖父が早朝に高崎駅へ年間200日くらい連れて行ってくれました。
(AJR)年間200日!?すごいですね!平日ほぼ毎日じゃないですか!
(鉄道博士)そうなんです。1時間くらい高崎駅のホームで様々な列車を見て、ホームで立ち食いうどんを食べて帰宅するのが日課でした。上越新幹線開業前の高崎駅では、高崎線の12系客車の定期普通列車を見ることができました。また、クモニ143・クモユ141が高崎線の115系電車に連結されており、高崎駅ホームでは荷物の積み下ろしを見ることができました。
(AJR)今では見れない光景ばかりですね。私はその時代に生まれていないので、見てみたい光景ばかりです。
鉄道博士は何鉄?
(AJR)鉄道博士さんはずばり「何鉄」ですか?
(鉄道博士)「撮り鉄」です。列車に乗るのも好きです。鉄道模型は、好きな車両の完成品は持っていますが、手先が不器用なので、キットなどには手を出していません。
(AJR)確かに、宣材写真でも、EF63の鉄道模型を持たれていますね!鉄道模型もお好きなのは、はじめて知りました。
一番好きな鉄道会社は?一番好きな列車は?
(AJR)鉄道博士さんが一番好きな鉄道会社や列車はなんですか?
(鉄道博士)今は、しなの鉄道の115系電車です。国鉄時代の鉄道車両のデザインのレベルは高かったので、新型車両に置き換える際には、いすみ鉄道キハ20-1303やJR西日本35系客車のような、国鉄型車両のデザインを継承した車両の導入を広く行うのが良いと思います。例えば、20系客車を現代の技術でつくったりしたら、非常に面白いと思います。
(AJR)JR西日本の35系客車は私もとてもびっくりしました。国鉄時代の車両のデザインは、たしかに今の新型車にはかなわない風格と品がありますよね。
先行きが不安な鉄道会社は?
(AJR)鉄道博士さんは、経営コンサルタントとしても活躍されていますが、この鉄道会社は大丈夫なの、という会社はありますか?
(鉄道博士)たくさんあります。コロナ禍で、中小鉄道会社だけでなく、大手鉄道会社にも危機的な状況に陥っている会社が出てきています。これから危機が顕在化すると思います。
(AJR)盤石経営と言われていた本州のJR各社の決算でも赤字になったのは、私もびっくりしました。確かに、中小私鉄などは大手より経営基盤が軟弱なので、コロナの影響を大きく受けるんですね。
鉄道以外の趣味は?
(AJR)鉄道博士さんの鉄道以外の趣味はありますか?
(鉄道博士)鉄道ほどではありませんが、自動車にも興味があり、詳しい方だと思います。
(AJR)なるほど。車の趣味について教えていただけますか?
(鉄道博士)普段は自動車メディアから情報を得たり、新型車の試乗をしているくらいですが、モスクワ出張の際に知り合った、ホンダの英国現地法人勤務の技術者の方(仕事も趣味も自動車)と、「Goodwood Festival of Speed」(英国で開催される自動車のイベント)に行ったことがあります。
(AJR)イギリスまで行かれたんですね!鉄道と同じで、車にもすごく思い入れがあるんですね!
鉄道博士チャンネルを始めたきっかけ
(AJR)鉄道博士チャンネルを始められたきっかけを教えて下さい。
(鉄道博士)二つあります。一つ目は、手軽に動画を配信できるようになったことです。昔は、写真は鉄道趣味誌などに寄稿することで多くの人に見てもらえましたが、動画の場合はそうではありませんでした。
(AJR)なるほど。インターネットの発達によって、情報の発信スタイルが変容したから、Youtubeを始められたのですね。
(鉄道博士)はい。そうなんです。二つ目は、動画を撮影する機材の性能が大きく向上したことです。また、アクションカム、全天球カメラ、ドローンなど、昔は存在しなかったジャンルの機材も登場しています。小中学生時代には、日本ビクター「GR-C7」というビデオカメラで鉄道動画を撮影していたのですが、画質が写真に比べてとても悪かったので、高校入学後はリバーサルフィルムで写真だけ撮るようになりました。再び動画を撮るようになったのは、感慨深いです。
(AJR)確かに、この数年間撮影機材の性能も格段に向上して、4K 8Kという超高精細映像も出てきましたよね。昔も映像を撮影されていたとは、初めて知りました!
鉄道博士チャンネルで一番力を入れていること
(AJR)鉄道博士チャンネルで、現在一番力を入れていることはなんですか?
(鉄道博士)今のところ視聴回数の伸びは期待できないのですが、今後なくなる可能性が高い被写体などを全天球カメラ(リコー「THETA Z1」)で撮影し、4K VR動画を公開していることです。VR動画には、構図という概念はなく、視聴者が見たい方向を見ることができます。将来、史料としての価値が高まることを期待しています。
(AJR)私も、360度映像はとても資料価値の高いものだと思います。このように、現役当時の映像をそのまま残して置けるのも、映像の特徴ですね。
鉄道博士が思う、鉄道博士チャンネルの強みとは
(AJR)鉄道博士さんが思う、鉄道博士チャンネルの強みを教えて下さい。
(鉄道博士)前述の新しいジャンルの機材を使った動画も配信しているところです。ドローンで空撮した鉄道動画も公開していますので、ぜひご覧ください。
(AJR)前編はここまでです。ありがとうございました!後編は、いよいよ「駅寝」誕生秘話と、今後の「鉄道博士チャンネル」についてお伺いします!
(鉄道博士)後編もお楽しみに!