5月7日、共同通信など数社が、JR東日本がみどりの窓口を70%から80%削減することで検討に入った、と報じました。JR東日本のみどりの窓口設置駅は452駅のため、削減されるのは最大で354駅程度になると推測されています。

なぜ削減するのか

JR東日本から公式のリリースはいまだ発表されていないため、本当の原因はわかりませんが、JRが出している資料からある程度、その要因を考察することができます。

JR東日本決算説明会資料 より

JR東日本は、今年4月に発表した決算説明会の中の資料で、2019年度比で鉄道のオペレーションコスト(営業費用)を1000億円削減するとしました。この中で、「効率的な販売体制」として、具体例にチケットレス・モバイルシフトを上げています。一方、現状のみどりの窓口での販売体制はその逆。アナログ的ですし、決して効率的ということはできません。つまり、ある種時代遅れであるみどりの窓口をなくすことで、コストの削減と効率化を図ろうとしているということなのです。しかし、みどりの窓口を削減すると、不便になってしまうのではないかという疑問が生まれると思います。ですが、JRはすでに代替手段をこれに合わせるかのように準備していました。

代替手段1 えきねっとのリニューアル

えきねっとホームページより

JR東日本は、ネットで乗車券・特急券を購入できる「えきねっと」のリニューアルをすると発表しました。えきねっとは、システム化されており、みどりの窓口のように人件費がかからず、人件費を削減することができます。みどりの窓口からえきねっと、チケットレスサービスへの移行は、JR東日本にとっていいことでしかないのです。

JR東日本プレスリリースえきねっと20周年!ついに大きく進化します。より

また、JR東日本は削減したオペレーションコストをポイントや利用者に還元することで、チケットレス・WEBでの購入を促進しています。このようにして、窓口での購入からの移行を促しているのです。

代替手段2 話せる指定席券売機

JR東日本 指定席券売機ご利用案内より

JR東日本では、みどりの窓口のない駅には、「話せる指定席券売機」という券売機を導入しています。これは、券売機に、窓口機能を追加したもので、オペレーターと会話を交わすことができます。一か所にオペレーターを集め、集中的に少人数で対応することで、人件費を大幅に削減することが可能です。また、駅係員の負担を減らすことができ、駅係員の勤務環境の向上に一役買っています。

このように、JR東日本は人件費や営業費用のカットによって、大幅コストカットを実現しているのです。

最後に

以前、「「プロ経営者」たちが、日本企業を次々に破壊しているというヤバい現実」という記事を読みました。この中で筆者は、「外からやってきたプロサラリーマン社長は、それまでのしがらみが無いから、リストラなどをやり放題だ。カルロス・ゴーンが典型的だが、解体処理や縮小均衡はできてても、長期的展望を持って企業の成長・発展に貢献することはほとんどできない。」と、プロ経営者について記しています。JR東日本の社長の深澤さんは、「サラリーマン社長」ですが、彼は収益構造の改革に取り組んでおり、駅ナカまたそれ以外の事業にもどんどん進出していっています。鉄道一本足打法ではいずれ頭打ちになる。そういう危機感から、改革を進めているのだと思います。

一方、こうしてコストカットや「首切り」を行っており、彼はそのプロ経営者的な視点も持ち合わせているのではないかと思います。もちろん、会社の方針は社長一人で決定するものではありません。しかし、JR東日本が行っているこうした経営改革は、時代の流れに即した、柔軟なものだと私は思いました。

次回、火曜日のAJRビジネスは「JR東海」について特集します。ぜひご期待ください。

サムネイル画像提供:? ????さん